(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

どれ削る? それとも税金上げる?

道路特定財源の話なんかで、地方の首長が道路作れみたいなこと言ってるし、それに賛同している人も多いんだけど、どれだけこういうことに気付いておりますかね。

国の税収は増えない

今後、日本の税収は増えません。それは人口が将来的に減るからであり、景気が良くなっても、爆発的に税収が増えることは期待できないから。良くて微増。但し景気が悪くなれば、たちどころに税収は減るわけで、リスクの方が大きい。長期的に考えれば増えることは期待できん。

社会保障費は増える

人口は増えないし、むしろ減るけども、高齢化が進む。となると年金の受給者が増えるし、高齢化に伴って医療費が増える。自然と国の負担も増えるのですよ。収入は増えないが、支出は増える。残念ながらこれが現実。

必要な道路はある

なんだかんだで道路は必要なんですよ。猪瀬直樹なんかは費用対効果を口酸っぱく言ってますが、「とりあえず道路作っとけ」みたいな乱暴な話もアリなんだよね。作っとけばそこに需要ができて、メリットが後から発生するケースも多いわけで。それに費用対効果を考えずに作れるのは国だけだしね。だからこそ国がやるべきという考え方もある。民間じゃできないことだから。

で、どうするの?

収入は増えない。支出は増える。道路も必要だ。となると、何らかの妥協をしなくてはならんのですよ。この3つを同時に解決する方法はねえから。

プラン1 税金引き上げ

増えていく社会保障に対応しつつ、道路は今まで通り作っていくと。となると税収が足らなくなる。じゃ増税ですねと。そういう話。ま、当たり前ですわな。支出が増える以上、収入を増やさなくてはならん。そういうこと。

プラン2 社会保障カット

税金は上げたくない。が、道路は今まで通り作って欲しい。となると、高齢化に伴って増える社会保障費を抑えなくてはならんのですよ。その分をカットしなくてはならん。新たに増える老人の数だけ、全体のサービスを落とすと。そういうことになりますな。

プラン3 道路建設カット

いや、社会保障をカットするのは困る。税金も上げちゃいかん。となると、社会保障費が増える分だけ、道路建設をカットするしかないのよ。道路のお金を社会保障にまわすと。社会保障費が1兆円増えるなら、道路費を1兆円減らす。そうすれば全体では行って来い。そういうやり方。

さて、どれがいい?

で、道路特定財源の話って、最終的にはどれがいいのかって話なのよね。あなたはどれを優先しますかと。どれを優先するかを選ぶとともに、どれを削っていいのかって選択の話。
家計でも、食費を削るか、衣料費を削るか、住宅費を削るかって選択があるでしょ。それと同じ話なのよ。あるいは費用を削るの嫌だから、ちょっとパートに出て収入を得ようとか。そういうこと。
そして残念ながらどれも削らない・税金も上げないという選択はもうできない。今までは借金でしのいできたんだけど、さすがにもう借りれない。限度額一杯。そういう状態。「あれも欲しい、これも欲しい。でも負担が増えるのは嫌」。こういうワガママは出来ない。税金上げるか、社会保障削るか、道路作るのやめるか。さあどれがいいでしょう。現状はそういう状態。
でもそういう切迫感はどこからも感じられないんだよね。東国原とかがヤンヤ騒いでいるけど、ヤツなんかは「税金上げるな、社会保障は充実させろ、地方の道路はバンバン作れ」って感じでしょ。無理。それはできねえ相談。物理的にできるわけないでしょうに。
となるとそこは選択の問題なので、あとは地方ごとにご判断をと。道路を後回しにしてもいいし、医療費とかの補助を少なめにしてもいい。そういう地方自治の話になっていく。そうなると中央にお金があると地方の自由がないので、税源を地方に移しましょうと、税源委譲ということになるはず。また、使い道を限定されると、使い道を選択する余地がないので、特定財源をやめて一般財源にしましょうと。そういう流れが自然。実際にどうするかは別として、どうするかの選択の幅をまず持たせる方に向かうはずなんだよね。
そう考えると、民主党が言ってる暫定税率廃止はナンセンス。地方自治に逆行するから。暫定税率がなくなるってことは、その分の税収がなくなる。ということは、その税収がなくなった分、さらに何かを削らなくてはならなくなる。つまりそれだけ選択の幅が減るわけですな。現状維持する余地が減るわけだから。
普通に考えれば暫定税率を維持した上で一般財源化し、その分を地方に税源委譲するというのがベターな気がするんだけどな。何に使ってもいいよと。それぞれ自治体が判断してくれよと。道路が作りたければ税源委譲でまわってきた金を特定財源のように扱えばいいし、他の使い道があるならそっちでもいいよと。こういう選択の自由度がある方に向かうのが自然だと思うのですがね。このあたりの民主党のヘタレ加減がどうも悲しい。
もっとも、自民党のヘタレもなかなか。この期に及んで特定税源を維持する必要なんてねえわけで。道路も社会保障も減らさない。税金も上げないで借金すればいいじゃんというジジイの逃げ切り戦術としか思えませぬ。おめえらはもうすぐ死んじまうからいいけど、こっちは君らより寿命があるもんで、それじゃ困るのだよ。「次の世代に良い国を」みたいなことを微塵も考えもしねえジジイばかりで、実にステキ。
以上、週の初めから軽く怒ってみたタケルンバでありました。