(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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アルバイトを面接するときに気をつけたいこと

年度の変わり目ということで、どこの職場も人が入れ替わったり大変なことかと存じます。新しいアルバイトの子を面接して採りたいと思っているところも多いのでは? 先日は新たにアルバイトをする人向けの記事を書きました。

今回は逆にアルバイトを採る側目線で書いてみたいなと。バイトを採る人事担当者向けの面接ガイド。

直感はかなり正確

面接の子と会います。第一印象を持ちます。直感的に何かを感じます。それはかなり正確です。大体あってます。大きくズレることは、まずない。直感とはその人の能力・経験・スキルを総動員して瞬間的に弾き出された結論。実は正確です。脊髄反射的に見えて、実はその人が持つ全ての知見が凝縮されたものと言えます。
見た目で言えば、最初の印象を後にくつがえすことはまずないです。大抵の子は気張って面接に来ます。そいつなりのベストの格好で来ます。そのベストが残念であれば、その後も残念です。悲しいかな、そいつは詰んでいます。小汚い格好のヤツは、今後も小汚い格好をする。それが当たり前だと思っている。外食やコンビニなどの接客業では厳しいことでしょう。食品工場なんかもダメだね。
また、直感を悪く裏切ることはあっても、良く裏切ることはありません。オレの経験では「100:1」です。直感よりダメだったヤツ100人に対して、できるヤツ1人。どんなにシビアに見ているつもりでも、人にはどこか過剰に期待しているもの。そういうのが直感にも影響します。
ましてそれが当然です。相手は採用して欲しくて来るわけです。自分を良く見てもらおうとして来ます。下駄を履いた状態なんです。その分、直感も割り増しになる傾向があります。それが直感を悪く裏切ることが多い理由です。
なので、悪いほうの直感であれば素直に信じましょう。その直感はあってます。多分ダメです、そいつは。

直感を否定する質問を

但し、直感は万能ではありません。そこで自分の直感があっているかを質問で確認しましょう。方針としては「直感を否定する結論が得られるように聞く」です。良い直感であれば、その直感は間違っているのではないか。実はダメなヤツなんじゃないか。そういう前提で聞きます。直感では判別できない「実はできるヤツ」「実はできないヤツ」が一定数混じっています。それを見つけるために、あえて直感を疑ってみます。
例えば「こいつ小汚いなあ」と思ったら、「部屋とか整理整頓するタイプ?」「片付けするのとか好きでしょ」みたいな変化球を投げ、誘ってみます。本当に日頃から小汚いヤツは「いやあ、部屋も汚いっすね」「片付けは面倒くさいっす」となります。そうなりゃ直感と現実は一致。お帰りはあちらです、お疲れ様でした。
逆に「そうっすね。汚いと落ち着かないっす」「モノがたくさんあるのって嫌いなんすよ」だったら見所があります。実は意外とまともかも知れません。キープです。化ける可能性があります。
このポイントは直球を投げないこと。小汚いヤツに「部屋も汚いっしょ」って聞いちゃダメです。「ファッションに興味ないでしょ」とか。そういう直球を投げると相手も警戒します。「相手がダメである」という前提の質問はナシ。質問の意図を気付かれ、質問の意味がありません。「部屋も汚いっしょ」と聞いて「汚いっすね」って答えるヤツもお帰りの対象ですが、さすがにそういう単純なヤツはあまりいません。
ポイントはあくまで意図を気付かせないように、自然に聞くこと。そしてネガティブイメージのある言葉を含ませないことです。服装が小汚いのであれば履歴書を見つつ「高校は制服?」「あ、私服なんだ。毎日服装大変じゃない?」「どういう格好で学校行ってるの?」みたいな感じで聞くとか。あるいはどうも頭がボサボサでフケ混じりだったら「オレのときは『朝シャン』なんて言葉があったんだけど、最近はどうなの?」「最近の高校生は朝シャワーなんかしないの?」「君はどうしてる?」とか。ネガティブワードを含ませずに聞くのがコツです。

オタク・マニア・厨には見所がある

基本的に直感が良くて、質問でも直感と一致していれば、まあ大体問題ないわけですが、個人的に重要視している要素がひとつあります。それは「熱中できるものを持っているか」。オレの場合、これがあれば文句なく採用しておりました。
というのも、これにはこだわりがありまして、こう思っているのです。

遊びに熱中できないヤツが、仕事に熱中できるわけがない

基本的に遊びより仕事の方がつまらんわけです。であるならば、遊びで熱中できないヤツは、それよりつまらん仕事で熱中できるわけがない。仕事にハマってくれるわけがない。そう考えておるのですよ。
またこれは仕事上の集中力にも関わりがありましてな。熱中できる、ハマるヤツっていうのは集中力があるのですよ。全てを忘れてそれに注ぎ込む。周りの声や、寝食などを忘れて熱中する。そういう恐るべき集中力。そういうのって仕事にも出るのです。関係ないように見えて、実は関連がある。
逆に熱中できるものがないヤツは、総じて集中力不足の傾向があります。注意力散漫で、どこかポカーンとしていて、締めるときと緩めるときの区別がつかない。そういう傾向を感じます。
なので、オタク・マニア・厨はかなりポジティブ。そのこだわりが仕事に向けば、なかなかのポテンシャルを発揮することが多い。問題は社交性に乏しいヤツが多いことなんだけどね。ま、そのデメリットを差し引いてもオススメできるタイプだと思いますよ。

相手を否定しない

たくさんの子を面接すれば、当たり外れが出ます。ダメなヤツは徹底的にダメですし、世の中にこんなヒドイヤツがいるのかと思うことでしょう。
しかしそういう子にもマイルドに優しく接しましょう。ポジティブに前向きに。「直感を否定する質問を」の項にも関連しますが、相手をダメと決め付けるような質問はいけません。相手を否定しない言葉遣いが大事です。
何故なら、たとえバイトとして採用しなくても、あなたの会社とその子の関係がなくなるわけじゃないからです。コンビニであれば毎日のように来てくれるお客さんかも知れない。外食ではそのチェーンをよく利用しているかもしれない。そういう子を敵にまわすのは得策じゃないのです。
いくら小汚いからって「君、汚い格好だね。それで面接受かると思っているの?」みたいなことを言ってはいけない。その結果、その子はバイトに落ちた店を二度と利用しないかもしれない。「あそこの店、ちょームカツク」と仲間にふれてまわるかもしれない。その結果、会社に損害を与える。評判を落とすことになる。
あくまでバイトの面接なのです。あと腐れなくすることが肝要。その子を否定せずに「ご縁がありませんでした」でいいんです。そうすればその子は次のバイトを探すだけ。そこで大きなダメージを与えるから反撃されるんです。無駄です。無駄なことです。新卒採用での圧迫面接も同様ですが、これは会社の評判という面でデメリットが大きい手法。オススメできない方法です。ましてバイトの場合、地元密着度が高い傾向があります。高校生だと家の近所でバイトする傾向があるので。その場合、リアルな損害が出ることがあります。マイルドに、角が立たないようにしましょう。
4月から店長を任され、バイト面接の担当者になる方も多いかと思います。直感を信じ、それでいて直感を否定する質問を投げかけ、直感があっているかを確認し、熱中しているものがあるヤツを採りましょう。その中に将来貴重な戦力になる人間も含まれているはず。
残念ながらダメそうなヤツは、角が立たないようにお帰り願いましょう。なにも敵にする必要はありません。味方にしないだけなのです。敵にも味方にもしない、元通りのニュートラルな状態で別れる。こんな面接がよろしいかと。
まあ、ダメなヤツを見るとついつい直球を投げたくなりますがね。「お前、バカだろ」と。それは禁句です。剛速球はいりません。巧みな変化球投手を目指してください。