(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

短所の裏に長所がある

テレビってのは偉大だなあと思う。なんだかんだで見ている。見ているし、結構テレビから得た情報を信用しているし、なんか刷り込まれている。
「最近の若いやつらは怒られたことがねーんだってな。だから怒ってやってるよ」
こういう話を聞いてため息ひとつ。ああ、この人も昨年やってたNHK特報首都圏見てたのね。「“ゆとり”と言われる若者たち」を。
「なんつーかさー、弱気なんだよ、あいつら。いちいち聞いてくるんだよな。確認しやがんだよ。そんなもんテメーで判断しろっつーの。最近のヤツはダメだなあ」
こういう実体験が本当にあるのか、それともテレビで見た話を自分が体験したかのように刷り込まれているのか、テレビの内容を元に「最近はこうなんだよ!」と語りたいのかはわからんが、まあ最近よく聞く話。時間差で訳知り顔で話されてもねえ。放映から1ヶ月経っているのに。
また勝手なのな。

  • 弱気
  • いちいち聞いてくる
  • 確認する
  • 人に判断させる

こういう理由があるから「最近のヤツはダメだなあ」になるわけなんだろうけど、ちょっと待てよと。

  • 強気
  • いちいち聞かない
  • 確認しない
  • 自分で判断する

これ、正反対なんだけど、果たしてこれがいいんだろうか。片側に「ダメ」とする価値観があるなら、その逆側は良い価値観なはずなんだけどな。
恐らくだな、そういうときはそういうときで、きっとこう言うんだよな。
「なんつーかさー、強気なんだよ、あいつら。全然聞いてこねえんだよな。確認しねえんだよ。そんなもん人に聞いてから判断しろっつーの。最近のヤツはダメだなあ」
中身を入れ替えただけで、結論は「最近のヤツはダメだなあ」。不毛な話よのう。
結局さ、世代論ってこの程度なんだよね。前者の弱気パターンにしても、後者の強気パターンにしても、長所があれば短所があるわけだ。例えば「いちいち聞いてくる」ってのは、聞かれる側にとっては面倒なことなんだけど、その反面、予想外のことをされるリスクは少ないわけよ。行動をコントロールしやすい。勝手に判断されて、勝手に突き進む暴走パターンがないわけで。
で、その悪いところだけに着目して、良いところを見ないというのは、ちょっとフェアじゃないよね。いや、これが長所がないという話なら別なんだけどさ。弱気で、いちいち聞いてくるのに確認しないとか。弱気のくせに暴走するとか。こういうタイプなら困る。そういうのばっかなら世代的にダメなのかもしれん。
でもそういうわけじゃないよな。短所はあるけど、その裏返しの長所もあるわけよね。それは「ゆとり世代」だってそうだし、これまでの世代だってそうでしょ。世代によって長所・短所の組み合わせは違うけど、短所の裏返しの長所があるってことは一緒じゃない。メリットとデメリットの総計はそうそう変わらんよ。生まれ育った社会環境によって多少デフォルメされているだけでさ。
それを忘れて「最近のヤツはダメだなあ」と言い切っちゃうから、妙な世代論が幅を聞かせちゃうし、つまらんレッテルが横行しちゃうんよね。仕事教える側としては、話を聞かずに自分で突っ走るヤツより、事前にきちんと確認してくれるヤツの方がありがたいような気もするんだけどね。取り返しのつかない事態は避けられるし。
もしかして「いちいち聞いてくる」のがイヤということは、聞かれたことに答える能力がないからと勘ぐってみたり。あるいは「いちいち聞いてくる」状態を避けるための、事前の説明や、ルールづくりが不足しているからじゃないのかなと。1ヶ月遅れでテレビで言ってたことに頭を染めてないで、「いちいち聞いてこなくてすむ」環境をどうつくるかが先輩とか上司の仕事だと思いますけどねえ。そういうところをしっかりしませんか? あとちょっとでまたもや新人が入ってくるんですよ。