(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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橋下はわるないよ(井筒監督調)

橋下に関しては元々「優秀な弁護士だった」と思っているので、オレはそういう戦術のひとつだと思ってるんだよね。大阪府内の自治体首長向け説明会で、橋下知事が泣いたという話。

橋下知事は懸命に理解を求めたが、最後には「大阪を立ち直らせたい」と涙も。

http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080417/lcl0804171317004-n1.htm

有利な判決や和解に持ち込むための法廷戦術みたいなものかなあと。というのも、橋下のゴールはハッキリしてる。

出費を減らす

これ。これに尽きる。とにもかくにも出費を減らす。この姿勢で一貫している。

  • (目的)財政難から脱出する
  • (手段)お金がかかることをやめる
パンがなければ大阪府に頼めばいいでしょう - (旧姓)タケルンバ卿日記

こういうことなわけでね。目的と手段がハッキリしてる。あとはどれだけ実現するか。
今回の涙は手段達成の道具にしかすぎない。これで橋下への同情が集まれば、橋下への攻撃が少なくなり、橋下の有利な条件でまとまる。即ちそれは大阪府の出費が減るということ。そしてそれによって大阪府が財政難から脱出できると。目的が達成されると。そういうプロセス。
こう考えると、今、橋下がやっているのは、まさに大阪府をクライアントとした弁護士活動な気がするんだなあ。大阪府代理人大阪府代理人として弁護すると。その弁護目標は財政難脱出であり、そのための方針は出費抑制。そう考えるとわかりやすい。
またこういう構図で考えると、何故、自治体首長が橋下に対してブーたれてるのかもわかる。橋本が大阪府代理人であると同様に、彼らも自治体を代表しているから。大阪市吹田市摂津市を代表している。大阪府の利益が、自分たちの利益にならない。だからぶつかっているわけだよね。彼らも利益代理人だから。
つまりこれは民事訴訟と同じ構図で、それと同じように弁護士・橋下徹はやっている。そう思えてしかたない。あの涙は有利な判決、有利な和解条件を引き出すための道具ですよ。クライアントの利益になるなら、彼は何でもしますよ。それがプロフェッショナルですからね。それがプロの弁護士じゃないかなあと。
あとついでに言えば、今回ドラスティックな改革案にGOを出したのも、こういう戦術ですよ。利益の相反する相手がいる。そういう相手と交渉するには、最初から自分がまとめたい線で出しちゃダメなんですよ。やや無理目で出さなきゃいけない。「1億円の賠償金が相場かな」という場合、裁判上は2億円を請求しなきゃダメなんです。話の落としどころをつくるには、あらかじめ多めに要求するのは交渉の基本。
100円で売りたい場合、「100円で売ります」とはじめに言っちゃダメなんです。「200円です」って言わなきゃダメ。最初に200円って言ったから、交渉の結果、100円になる。100円と最初に言えば80円になるかもしれない。相手がある交渉ごと、ことに利益が相反する場合には、多少ふっかけなければならんのですよ。
なわけで、今回1,100億円と言われる改革案なわけですが、この後、色々な経緯があって500億円になりましたと。これでオッケーなんですな。かなりオッケー。最初出した額の半分になったけど、500億円の出費が減ったと。こういう具体的な成果が残る。そしてふっかけたから半分でも500億円。現実的な額を積み上げて、500億円でいっぱいいっぱいですと最初からやったら、半分でも250億円。これ、だいぶ違う。
また、最初ふっかけたことで、相手はのまざるをえなくなる。橋下が譲れば、相手も譲らなきゃいけない。少なくてもそういう雰囲気になる。負い目ができる。
大阪府が妥協したのに、なんで○○市は妥協しないのよ!」
こういう声にあらがえる人はどれだけいますかねえ。少なくてもプレッシャーにはなるわな。
そして、実は橋下は妥協しても痛くない。妥協して額が減ることを織り込んでいるはず。その分を上積みさせた額が1,100億円なはず。ということは、実は橋下が設定した土俵の戦い。土俵の広さは1,100億円。そこに大阪府内の自治体首長はみんな引きずりこまれた。本当はもっと小さな土俵かもしれないが、気が付くと1,100億円になってた。そういう構図に見えるなあ。
そうやって考えていくと、意外と橋下は政治をやっとるなあと。弁護士アプローチでやっている。クライアントの利益を実現するという政治。「少しでも多く賠償金とりましょう」的なね。それを「少しでも出費を減らしましょう」に置き換えているだけ。
わざと多めにふっかけ、それがそのまま通れば良し。ダメで元々。減ったとしても、最初から織り込み済み。問題ない。相手を自分の土俵にのっけて、少しでもいい条件を勝ち取る。いい和解に持ち込む。相手が折れやすいように自分が折れてあげる。その結果、具体的な果実が出れば良し。仮に減らせたのが100億円でも、大阪府のためになったんだからいいだろうと。今までよりはマシだろうと。その前進はクライアントの利益じゃないか。……こう橋下は考えているんじゃなかろうかと。
……良く考えすぎ? ああ、そうですか、そうですか。でも、もうちょっと様子見て、ダメなら次の選挙で替えればいいんだから。ダメかどうかは大阪府民が考えればいいことなんで。ダメでも替えれるってことが民主主義のいいところなんでねえ。
ま、橋下に関してはこういう見方もあるよということで書いてみました。
橋下はわるないよ(井筒監督調)。