(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

もうサマータイムの議論はやめましょうよ

まだサマータイムが話題になるのか。

「ダメじゃん」が定説だと思うんだがなあ。

昨年書いたけどねえ。メリットが弱いわりに、デメリットが明確になってきたので、日本じゃ意味ないと思うんだけどなあ。

■反対派の主張に意味はあるか

テクノロジー : 日経電子版

という見出しがあるので、ちと検証しますかね。

  • 1年に2回時計の針を合わせるのは大変であり、社会的混乱をきたす

これは習慣の問題であり、欧米を中心に約80カ国で実施されているのだから大きな社会的混乱にはならないだろう。

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うん。習慣の問題だから、今までの習慣を崩すと問題があると思うんだ。慣れるまでに混乱が起きるはず。習慣の問題ならば、習慣を崩さないのがベターですね。
あと欧米という例が出ているのでここに言及すると、アメリカの場合は国土が広いせいで、国内に時差があるため、1時間程度のずれは生活習慣に織り込み済みである。ヨーロッパの場合は陸続きなわけで、隣国とサマータイムの有無の差があったらますます面倒という事情があり、どうせやるならヨーロッパとしてまとまってサマータイムを導入したほうが好都合。とまあ日本とは違う事情がある。なので「約80カ国で実施されているのだから」は日本がサマータイムを導入すべき理由にならんのです。
むしろ日本は近隣の国に合わせた方がトクじゃないですかね。中国とか韓国とかに。日本の近隣諸国でサマータイムを導入してないんだから、日本もそれに合わせた方がいいじゃないですか。習慣の問題としてね。アジアの。

  • 日没時間が遅くなると残業が増える

夏は残業が多くて、冬は少ないという統計的データはなく、単なる感覚論。

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これは微妙に論点が違う。問題は日没時間と残業の相関関係じゃない。サマータイム導入によって、現在より残業が「増えてしまう」という「変化」にある。人工的に日照時間を増やすことで、労働可能な時間を増加させてしまう。それによって労働時間が増えやすい状況ができるのではないか? というのがポイント。「明るいんだから、まだ働けるじゃん」が起きるかどうかの問題。

  • 欧米のモノマネを安易にすべきではない

単に日本の標準時間での日の出、日の入りが生活リズムと乖離(かいり)しているだけで、真似でもなんでもない。

テクノロジー : 日経電子版

サマータイムを欧米のモノマネと言うつもりはないけども、これまでサマータイムなしに生活してきた日本人の習慣が、「生活リズムと乖離」と言う根拠はないと思いますね。リズムは一定であることが大事なわけで、それを意図的にずらすメリットがあるとは必ずしも言えない。
欧米でもサマータイムによる睡眠障害などの悪影響は常々指摘されているわけで。むしろ人為的に時間をずらすサマータイムの方が、生活リズムから乖離しているという考え方もできます。

時代が違いすぎて参考にもならない。

テクノロジー : 日経電子版

まあ、そりゃそうだ。これはさすがに同意。
でもだ、

つまり反対論はほとんど意味のない議論である。

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これは全然言えない。問題点は昨年書いた記事にまとめたし、今、ここでちょっと触れたけども、デメリットは否定できない。そしてそれ以上に強調できるメリットがない。

単純に夏は朝4時半から太陽が照っているのに、日の出から2時間ぐらい寝てるというもったいなさ。これをせめて1時間に減らそう。1時間太陽の光を多く浴びよう。これだけで大変なメリットではないか。

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これ、一部なのよ。緯度が高い場所ではメリットがある。北海道なんかだと、夏場の日の出は早い。しかし日本は南北に長い。沖縄なんかだとそこまでのメリットがない。

こちらで今年の夏至、6月21日の日の出時間を調べる。

  • 札幌 3:55
  • 東京 4:25
  • 那覇 5:37

南北で1時間半以上も違うんですよ。
となるとだ、サマータイムが導入されると日の出時間は次のようになる。

  • 札幌 4:55
  • 東京 5:25
  • 那覇 6:37

札幌とかだと確かにメリットがある感じだけど、那覇ではメリットがない。いや、むしろ薄暗い朝となり、デメリットになる。
那覇の日の出6:37という時刻は、10月30日、31日と同じ。でだ。夏至だからこれですんでいる。4月1日からサマータイムを導入するとなると、そのデメリットはますます大きくなるし、悪影響を受ける地域はますます広がる。
4月1日の那覇の日の出は6:21。サマータイム下では7:21が日の出。でだ。2009年の沖縄で、最も日の出が遅い日でも7:18。つまりサマータイムによって、人工的に最も日の出が遅い日をつくり出してしまうわけ。せっかく朝早くなってきたと思っていたら、いきなり1月とかの真冬に引き戻されるわけですよ。
人為的に時間をずらし、日照時間を長くすることで、時間を有効に使おうというのがサマータイムの意義なわけだけれども、日本のように長い国土の国だと、日照時間が長くなる場所があると、同時に短くなる場所も発生する。
つまり、国単位で一律に導入しても意味がないんですね。北海道では効果があっても、九州・沖縄では意味がなかったりするから。
だからこそ、どうせやるなら道州制とかとセットで、サマータイムが有利かどうかの地域性を考えた上で導入すべきと思うわけなんだが、しかしそれにしても別の問題がある。

但し、手間に堪えられる?

でも面倒くさい。第一、国内に時差があるってのは厄介だ。北海道と沖縄で時間が違うというのはめんどい。まして30分刻みなんてさらにめんどい。時計やコンピューターの時刻設定をいじらなきゃならんし、余計なトラブルのタネ。ある程度地域ごとにサマータイムのあり方を変えないと、サマータイムの効果は発生しない反面、その分、キッチリ面倒くさくなる。

サマータイム、もうだめぽ - (旧姓)タケルンバ卿日記

こういうことなんだなあ。やらん方がいいって。

なにしろ、朝4時半から太陽が出ていること自体がおかしいのだから。

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3時台から太陽が出る場所もあれば、年間通して5時以降にしか太陽が出ない地域もある。それが日本の地理的特性。
それに逆らう方がおかしいと思うなあ。人為的に強引にやっても意味がない。
もっとも、合理的な理由があったり、大きなメリットが発生するならば反対する理由もないけど。でも、ないんだなあ。現状で。日本でサマータイムを導入すべき合理的な理由や、科学的根拠、証明されたメリットはない。ならば、やらない方がいいというのが当然の帰結だと思うんですけどねえ。ううむ。何で毎年この話題が出るんだろう。わからん。