(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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昇給はリスク

そりゃそうだろうねえ。

年を取れば取る程会社での居場所は狭くなるの?

年を取れば取る程会社での居場所は狭くなるの? - GoTheDistance

少なくても、定期昇給を前提にしている限りは。
特別なプラスアルファがなくても、同じことをし続けているだけでも、給与が上がるって不健全。給与の原資が利益である以上は、新たな利益を生み出さない限りは、新たな給与の上積みがないのが当たり前で、利益がないのに給与が上がり続けているとしたら、「じゃあ、その原資は何なの?」って話になる。
ほんでもって、その原資ってのは、大抵においては「前借り」。借りる対象はそれぞれだけど、実態はすべて前借り。銀行からの前借りか(借入金)、株主からの前借りか(資本)、国からの前借り(税金)。
で、もうひとつが人件費からの前借り。若手の人件費をおさえて、ベテランにまわす。しかしまあどれも結局は前借りに過ぎないし、費目の付け替えに過ぎないわけで、やがて無理がたたるし、ガタがくるし、そのうちに「誰が無理させたの?」という犯人捜しがはじまる。今はそういう段階なんだろうね。
解決方法としては定期昇給をさせる原資の獲得=利益の創出なんだろうけど、人口減社会で経済規模が縮小に向かっている現在、これはなかなかに難しい。これまでになかった事業=ベンチャーならともかく、既存の事業は基本的に右肩下がりになるわけだし。利益もまた右肩下がりになると思われるこの状況で、給与だけ右肩上がりなんて保証できるわけがない。
しかもあいにくデフレときてる。インフレならば、インフレした分だけ昇給させれば、実質的な企業負担分はなくてすむんだけど、デフレだとそれもできん。
となるとこれしかないんよな。

定期降給

利益という原資が減る以上は、給与もまた減らないとおかしいよな。利益が増え続けることによって、給与が増え続けてきたならば、利益が減り続けることで給与も減ると。企業の利益が増えているうちは、在籍年数に応じて給与が増えるが、企業の利益が減るならば、在籍年数に応じて給与も減るよと。
昇給があるなら降給もありうる。上がるメリットがあるならば、下がるデメリットも起こりうる。
実に当たり前の話だと思うのだけど、この当たり前の話ができないから、いろいろと困った話になっているわけでね。誰でも自分の身がかわいいわけで。俺だって自分の取り分減るって話は困るしなあ。自分の身に起きたら反対する。まあ当たり前。
しかしある程度の降給に応じないと、給与が下がるどころか、職がなくなりかねんわけでね。

会社更生手続き中の日本航空は15日、最大約250人のパイロットと客室乗務員を対象に、雇用契約を一方的に解除する整理解雇を実施すると発表した。

http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2010111500644

会社が潰れれば職がなくなるわけだし、潰れかければ職を解かれるわけだし。
給与を下げるのは個人的にメチャメチャ痛いけども、長い目で見れば雇用を維持するわけで。広い意味でのワークシェアリングというか、アンパンマンメソッドというか。
「僕の顔をお食べ!」
麗しき自己犠牲ですね(棒読み)。
まあしかし給与のあり方として、昇給があるなら降給のリスクがあるというのは、もう当たり前の事実として受け入れなければならないでしょうな。上がれば下がる。当たり前の法則。
それが嫌だというなら、同一労働・同一賃金。同じ仕事をしている間は給与は増えないが、減りもしない。在籍年数は関係なく、仕事の内容判断。
こっちの考え方だと実はベテランに優しい。何故かというと、若手もベテランもまったく同じ給与なら、在籍年数というノウハウの蓄積がある分、ベテランを優先しようという考えになりやすいから。
従来の企業が何故ベテランから切るかというと、定期昇給なんかの存在によって、若手よりベテランの方が給与が高いから。その「給与が高い」という理由がないのなら、特段ベテランから切る意味はないわけでね。
定期昇給があるなら定期降給がなければおかしいし、それを受け入れなければ、定期昇給の連続によって給与が高くなったベテランから切らざるを得ない。そのため、年を取れば取るほど会社での居場所は狭くなる。
定期昇給がなければベテランから切る理由はなく、年を取ろうがなんだろうが、給与分の働きをしている限りは会社内の居場所は狭くならない。
こんなところなんでしょうなあ。給与が上がるというのは、個人的には収入増というメリットでも、会社にとっては支出増というデメリットである以上、リスク要因だと思うのですけども。「下手に給与を上げない」という会社員としての処世術が生まれてきてもいいんじゃないでしょうかねえ。「給与」を「ハードル」に置き換えればいい。「期待」でもいいや。
高いハードル、高い期待に応える自信があるならともかく、そういう自信がないなら「それなり」に甘んじるのが得策じゃないでしょうかね。昇給が当たり前だと思っている人から痛い目みるよ。