(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

原発推進側の立場で今後の原子力発電を考えてみた

一昨日、Twitterでつぶやきつつ考えてみたので、セルフまとめとして残しておく。

takerunba 原子力関連をちょっとディベート的にまとめてみる。基本的に推進側は東京電力と同じ側で、東京電力の広報になり、原子力を推進する場合にどうアピールするか? を考えればいい。 link
takerunba まず、話の前提は安全。日本の原子力発電は安全である。これが言えないと話にならない。原発が生む様々なメリットは、安全という前提があってのもの。安全でなければメリットは生まれないし、場合によってはデメリットが上回る。 link
takerunba それに反対側が原発反対の理由に安全性を持ち出すことは目に見えている。安全の証明は、原発推進の前提であり、同時に原発反対のカウンターとなる。 link
takerunba 今回の大震災によって、安全という大前提が崩れた。本来はこの時点でディベートは成立しない。前提が崩れたら、前提を元にした主張はすべて崩れる。 link
takerunba 次に原発のメリットについて考える。1.クリーンエネルギーである。火力発電などと違い、温暖化ガスを出さない。故にクリーンであるという主張。 link
takerunba これも今後はどうか。確かに温暖化ガスなどは出さない。しかしかわりに様々な放射性物質が出てしまっている。ここを突っ込まれると弱い。 link
takerunba 次のメリット。2.発電コストが安い。水力や、太陽光発電などに比べて安いと。温暖化ガスを出さないクリーンとされる発電の中で、原子力が推される根拠。 link
takerunba しかしながらこのコストに使用済み燃料の保管費用や、送電する際の電力ロスが加味されていないことは既に明らかになっている。 link
takerunba また、今回のような事故があった場合の復旧費用や、補償にかかわる費用まで考えると、他の発電方法より原子力が特別割安であるとの主張はもはや成り立たない。 link
takerunba 3.原発は輸出産業になりうる。対外的に売れる。それが国益になると。他のメリットよりは弱いが、まあ金儲けの材料にはなるので、メリットと言えなくもない。 link
takerunba しかし実際に事故が起こり、対策が後手後手にまわっている状況を見た各国が、日本製の原発を今後買うだろうか。 link
takerunba と、考えていくと、前提もメリットも崩れ、今後日本で原発を推進していく根拠はなくなったものと思われる。 link
takerunba 次にこの議論を海外で行った場合を考える。今回の事故は、海外の原子力論議にも影響があるはず。 link
takerunba その際のポイントは、日本の事故は自国でも起こり得るか。これに明確な「NO」が言えないと、原子力を推進できない。 link
takerunba ヨーロッパは地震津波のリスクがないから、この面で日本のような事態発生を否定するのは比較的簡単に思える。 link
takerunba しかしながら、地震津波では事故が起きないとしても、他の天災の可能性を問われると、なかなか厳しい。人為的なミスや、あるいはテロ集団の占拠などの可能性をすべて潰すのは困難。 link
takerunba となると、安全性というより、採算性の面で脱原発の動きが進むのではないか? という仮説が生まれる。すべての危険性に対処できないが、天災によって日本がこうなっている以上、すべてに対応することが求められる。それは採算にあわない。 link
takerunba あとはこれまで進めてきた環境関連との整合性をつけること。ここに集約させるのではないか。地球温暖化がきれいさっぱり忘れられる。そんな明日を予想する。 link
takerunba 以上、ディベート的に考えた。脇道にそれた面もあろうが許してくだされ。 link
結論は、今後は原子力発電を推進することはできない。その理由は、安全性の問題ではなく、採算性。「安全性を維持できないから推進できない」のではなく、「採算性に見合わないので推進できない」。
安全な原発は作れるし、既にある。根拠のひとつに、今回震災の影響を受けた地域にありながら、大きな被害を受けていない女川原発の存在があげられる。
しかしながら、想定を越えた事態発生の可能性が現実のものになった。安全性を維持するにはあらゆる想定をしておかなければならないし、その想定レベルは限りなく高いものでなければならない。また、想定を越えた事態が起きてもなお、安全性を維持するための危機管理を求められる。
となると、それを実現するためのコストは青天井。底なし沼だ。地震があったらどうする? 津波があったらどうする? 火災は? 落雷は? 火山の噴火は? そうした天災に対する対処はもちろんのこと、人為的なミスにも対処しなければならないだろうし、意図的に事故を発生させようとする動き。例えば、テロ集団が発電所を占拠して……などの想定もしなければならない。「そんなことはありえない」と思うようなことでも、それに備えるのが危機管理だからだ。
である以上、この事故を境に、原子力発電の採算性は悪化すると思われる。どれくらい悪化するかはそれぞれの国の事情で異なり、天災が起きる確率や、国家の国民に対する統制具合などに影響される。例えば住民対策コストがほとんどかからない中国では、さほど採算性は悪化しないと思われる。
しかし、世界的な流れとして、原子力発電への動きは鈍化し、短期的には従来の火力発電、中長期的には太陽光発電風力発電などへの傾斜を強めていくのではないか? 温暖化の問題はひとまず棚上げにし、原子力発電の分は、当面、火力発電で補うのが現実的ではないかと思われる。
以上。あくまで推測、仮説、揣摩臆測。