(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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被災地の今を訪ねる (6)

被災地の今を訪ねる (5) - (旧姓)タケルンバ卿日記 より続きです。
2日目。10月25日。名取のホテルを出て、沿岸部を再び北上していく。
まず立ち寄ったのは石巻。海辺近くの川。川面が異様に高い。真新しいコンクリートと、土のうで周囲を固めている。マンホールが隆起していたが、これはマンホールの位置が上がったのではなく、周囲が地盤沈下したために、マンホールの位置が高く残ったのであろう。
地盤沈下に、川底の土砂の堆積。これが川面を押し上げ、周囲の水害リスクを高めている。
続いて女川。女川原発が見える小さな漁港に出た。

わかるだろうか、木に何か引っかかっているのが。


浮きやらブイやら籠やらが、木に引っかかったままになっていた。つまり、このあたりまで津波は来たということだ。

同じくこの光景の違和感に気付いてくれるだろうか。

埠頭の位置が低い。異様に海面が近い。
このような光景は沿岸部では多く見られた。港に土砂などが堆積したり、海中の地形などが変化したか、あるいは地盤沈下なども影響し、これまでの港湾設備が危険なものになっている。

この場所は震災後に新たに作り直したもの。

コンクリートの色で、従来のものに盛りつけてつくったものであることがわかる。従来は先に出した写真の埠頭同様、この灰色部分までたったのだ。

女川原発が見える。盛り土の整備などの護岸工事をやっているのか、重機が忙しく動いていた。この建物手前の盛り土の高さによって津波は防がれ、福島原発との明暗を分けたのだろう。
川面が近い。水面が近い。海が手前にあり、埠頭が低い。
いずれも被災地では見慣れた光景。自分にとっては違和感にしか他ならない。そしてこの違和感の分だけ、今もなお津波の被害が残っていることを意味し、水害のリスクという二次被害を受ける可能性を強く示唆しているのだった。
(つづく)