(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

一部のイタズラで全体を否定していいの?

どうもこんにちは。PC壊れたりして、なんだかお久しぶりのタケルンバです。
なんか飲食店の冷蔵庫に従業員が入ってワオ! が話題になってますね。なんかいろいろ反応があったりなかったり。
私も外食産業関係者なわけで、ここらでなんか書いておこうと思うわけですが、そもそもの話として疑問があるんですよね。

ああいうイタズラは最近急に起きたの?

そんなわけないですよね。昔からあります。昔からやっていた人はいました。
ではなぜ最近見るようになったのか。それはインターネットがあるから。インターネットにそういう画像を上げるツールがあるから。個人がインターネットに上げた画像を他人が見ることができるから。この三本です。うふふ(サザエさん調)。
「イタズラが増えた」というより「イタズラが可視化された」が真相だと思うわけです。昔はこっそりやって、仲間内で終わった話を、画像という証拠物件を仲間外でも見れるインターネット上に公開したことによる可視化の問題だと思うわけです。

ああいうイタズラは多いの?

けして多いとも思いません。目立っているのはインターネットの特性と思われます。
検索と抽出による強調。これがインターネットの特徴だと思います。
イタズラを見つける。流す。それをまた誰かが見つける。流す。類似を調べる。検索する。また見つける。流す。
この繰り返しにより類似の行為が見つかり、同時期に広く伝えられるわけですが、その強調は量という裏付けを必ずしも伴うわけではない。それこそ「Yahoo!のトピックスに載った」というだけで大量のアクセスを集めてしまうわけで。件数よりもどこが伝えるか、誰が伝えるかによって話は強調されてしまうわけで。

ちなみに政府の労働力データによると、2013年6月時点での宿泊業、飲食サービス業の就業者数は375万人。375万人もいれば、その中にイタズラする人間だっているだろうし、犯罪行為に手を出す人もいるだろうし、統計というか確率の範囲内の話だろうと俺は思うわけですよ。
「ああいうイタズラをよく見る」というのは、「よく見てる」という関心の裏返しであって、実際には大量発生しているわけではない。立て続けに5件あろうが6件あろうが、375万人という母数の前では誤差にしか過ぎないわけで。

過剰反応による結論付けの方が怖い

しかしながら、「ああいうイタズラをよく見る」という数値の裏付けがない印象論を前提に妙な結論が導かれてしまうわけです。
例えば従業員のレベルが低いとか。最近のバイトはどうなっているんだとか。あるいは外食産業という産業全体の問題であるとか。店の体制けしからんとか。
しかしながら、375万人も人がいれば、そりゃ変な奴もいるよねという話でありまして。イタズラは悪いということには変わりはないものの、業界全体の問題であるという論拠を得られないまま、印象論だけで全体を批判してしまうのはどうかと思うわけです。
イケなんとかさんが「おバカな従業員は「安さ」の代償である」と決め打ち記事を書いているようですが、こういう間違った前提による結論により、業界全体のイメージを毀損されるのは困ったことだなあと。もちろんそういうことを引き起こしかねない行為をした人間がいることは事実ですが、論拠もないのに軽々にこういう結論を出してしまうのはねえ。むしろ「日本の従業員は安い給与でよくやってる」という意見が出てきてもおかしくない。
「低賃金ゆえ、従業員の質も高くありませんから」みたいな決め打ちって誰が得するんだろう。一部で起きた出来事をもって全体を否定することの意義は?
と思ってしまうわけでした。さて、ローソンでアイス買ってくるか。