(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

香港雑感

また思ったことをまとめてみました。

相変わらずエスカレーターが早い

香港のエスカレーター、特に地下鉄のヤツは早い。余りにも早いので、帰国すると日本のエスカレーターがスローモーで仕方ない。

あまりうまく撮れてませんが、これでわかりますかね。とにかく、香港のエスカレーターが早いんだって(@織田裕二調)。

やがて中国に飲み込まれる

ちょっと前までは香港が中国を飲み込もうとしていたわけですよ。特に深セン。休みになると香港の人が深センに行ってお買い物をしていた。中国の方が香港より割安だったわけですよ。また香港の人が多く押し寄せるもんで、深センでは普通に香港ドルで買い物できたし。為替レートも1香港ドルに対し1.1元程度。香港の人は香港ドルで払うとやや為替上で損するが(買い物する場合は香港ドルと元は等価扱いだった)、それ以上に物価が安いからOKという状態。
ところが今や立場逆転。今や中国から香港へ人が流れている。通貨も同様。今や元の方が強い。ブルームバーグのデータ(1月20日時点)によると、1元=1.078香港ドル深センの人にとってみりゃ、今や香港ドルで支払ってもらううま味はないわけで、香港ドル払いを断るケースが多い。一方、逆に香港では「人民幣歓迎」と出す店が増えた。両替の手間を考えても、等価で元建てで受け取る方が得。かつてと全く逆の現象が起きているのですよ。流れは変わった。
一方言語。これも中国が香港を飲み込みつつある。街中では北京語表記が増えており、世代別に3つの層ができつつある感じ。イメージとしては40歳以上の広東語のみしかわからん層、10歳〜39歳の広東語・英語のバイリンガル、そして9歳以下の広東語・英語・北京語のトリリンガル。このトリリンガルの層が多数を占めるようになれば、広東語は標準語から外されるはず。ちなみに一国二制度は50年の約束。1997年に香港は返還されたわけで、そこから50年ということは2046年。このあたりになるとトリリンガルの層が50代あたりになっているので、結構現実的な話。そうなると漢字も中国本土同様、簡体字になるでしょうな。
ちなみに香港が簡体字になると、台湾もつらい。実は台湾と香港は同じ繁体字を使う地域。そのため、新聞・雑誌・書籍などの出版媒体は両地域にまたがる会社も少なくないわけですが、香港が簡体字になると、その分の繁体字出版需要がなくなるわけですよ。台湾・香港合計して繁体字人口は約3000万人。ここから香港の約700万人が抜ける。これって結構な痛手。
となりゃ、少なからず簡体字中華文化圏は統一される趨勢になる。50年をかけて少しずつ香港を中国が飲み込み、やがては台湾をも。そんな流れが透けて見えますです。

香港の食は北京に抜かれる?

香港で食事したことがある人はわかると思うけど、あちらのサービスは横柄なのですよ。結構適当。で、それは中国圏ならではのことかと思うと間違いで、先日言った北京では結構感じがいいわけです。かなり良い。オリンピックの影響もあるとはいえ、北京は香港より上。
ところがそういう現実に香港は気付いてない。これでいいんだと居直っている雰囲気ありあり。良くしようという雰囲気もないしさ。この点で中国本土は貪欲。向上心のかたまり。ま、まだ今は味は香港の方が上で、大きな問題はないものの、やがては金にモノを言わせ、味の差もなくなっていくはず。となっちゃサービスの差は如何としがたく、香港はどうにもならなくなるのでは。

長期ではネガティブ

投資家として香港を見るなら、ズバリ言って長期ではネガティブ。長い目で見るといいことない。マカオのようなカジノという特色もないし、全般的に開発余地もない。成熟した都市国家であり、特に悪くなる要素もないけども、良くなる要素もない。スクラップ&ビルドで、古いビルを壊して、新しい高層ビルを建てているけども、それが新たな需要を掘り起こしている感じでもない。このあたりダイナミズムに欠ける。かなりネガティブ。
香港買うなら中国本土の方がいいし、まだ日本の方がマシ。正直言ってそんな印象。

アジアの食都は香港から東京へ

欧米人にとってのアジアの食都は、20世紀では香港だったと思うわけです。それは寿司・刺身などの生食がある和食に対し、中華料理はきちっと火を通すため抵抗感がなかった。またあちこちに華僑がおり、中華料理に親しむ機会は和食より多かった。また東京より香港の方がヨーロッパより近く、イギリス領だったため英語が通じ、また物価も安かった。そんな理由で、アジアの中では香港が第一の食都だったと思うわけです。
しかし21世紀、どうやら食都の地位は東京に移った感じ。寿司などに慣れ、生食への抵抗感が減った。狂牛病などの影響で魚介類が見直され、魚介類を多く食べる和食が注目されてきた。そして最大の理由は、東京の物価は彼らにとって安くなったのですよ。今や東京は安くメシが食える場所。
20世紀後半はこうじゃなかったわけですよ。欧米が伸び悩む中、東京の物価は上がり続けていた。またその中で円も強かった。日本人は円高のおかげで海外旅行を謳歌していたものの、海外の人にとっちゃ割高な日本に誰が行くもんかと。そんな感じだったのでは。
ところが21世紀になり、物価上昇が止まった上に、円も安くなった。一方、欧米は景気絶好調。となると収入が増えた上に円は安い。じゃ東京行って寿司でも食うべえと。そういう流れになってきたような気がするのですよ。
その極みは昨年のミシュランガイド・東京版の刊行。ミシュランガイドってのはフランス企業がつくったもので、欧米のためのもんなわけ。で、それが作られたってことは、需要が欧米にあるからなんですよ。東京での需要じゃない。あくまで欧米での需要。そもそも三ツ星ってそういうもんですからね。三ツ星ってのはわざわざ行くに値する店に与えられるもの。欧米に住んでいる人が、わざわざ東京まで行ってでも食べるに値するという店につけられるものなわけですよ。
つまり東京は「メシ食いに行くところ」になったわけです。その先鞭をミシュランがつけたと。そういう構図な気がします。
となると観光面での東京の仮想敵は、中国でも韓国でもなくて、実は香港。となれば手を組むべきはタイ・シンガポール・ドバイ。アメリカからは直接成田に来るからいいとして、ヨーロッパからの客を如何に香港に下ろさないかが勝負な気がする。つまりバンコクシンガポール・ドバイ→日本という便を増やすといいような。タイ航空・シンガポール航空エミレーツ航空との結びつきを強めるとか。
あるいは香港以上の利便性で勝負するとか。特に電車。観光客用のSuicaPasmoとかあるといいね。乗り放題券みたいなヤツ。日本語がわからん人にとって、行きたい駅までの切符を毎回買うってのは億劫ですからな。改札でピッとやっときゃOKなら、観光客にも抵抗はあるまい。こういう日本語わからんでも大丈夫体制を整えることで、より観光アピールできる気がしますがね。
以上、長文になりましたがこんなところで。