(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

最終的には運用次第

どうやら児童ポルノは単純所持も規制する方向のようで。

まあごくごく自然流れ。世界中で規制の方向へ向かっているのに、日本だけゆるゆるでは規制になりゃしない。日本発でネットに出回ってますからねえ。
例えるなら麻薬におけるゴールデントライアングル。どこの国もドラッグの不法所持・不法使用を禁じているんだけども、作っているところがある以上は出回ってしまう。これを防ぐには作らせないことが大事なわけで、そういう意味で日本が児童ポルノ規制に向かうのはごくごく自然な流れ。
あと課題はこんなところだろうねえ。

児童ポルノの定義

何を持って児童ポルノとするか。これが重要。というのも、刑罰を伴うものは「罪刑法定主義」でなきゃならんのですよ。罪とする行為はあらかじめ決めておきましょうと。事前に決めてあるものだけを罪としましょうと。
じゃないと恐い世の中になる。悪いことしてないのに「はい、それ犯罪」になっちゃう。泥棒をすると捕まるのは、それが「窃盗罪」というように犯罪と規定してあるから。そしてそれをするとどんな刑が科せられるかも決まっている。罰金とか懲役とか、あるいは死刑とか。行為と罪と罰はセットで決めておかねばならない。拡大解釈されちゃかなわんからね。泥棒してないのに「それ、窃盗じゃね?」と言われても困るわけで。
というわけで対象物をきっちり決めておくことが必要。ま、基本的には写真や動画、あるいはそれに派生する画像全般ということになりますかね。そのあたりが無難なところ。
みんな騒いでいるけど、マンガ・アニメは含まれないはず。ああいうのはセーフ。ただ、あまりにもリアルだったら問題になるかも。精緻画みたいなヤツ。これは銃刀法をイメージすればいいと思うんだけども、拳銃所持はアウト。でもモデルガンはセーフだよね。空気銃とか。要は凶器としての銃を規制する法案なんで、模造品はOKと。ただ、あまりにも精巧な空気銃はアウトなのですよ。実弾を発射できるヤツとかは。これは模造品といえど、ホンモノと変わらないから。十分凶器だからアウトになるわけだよね。実質的に同じと。
マンガ・アニメも同様で、一般的なものは趣味の範囲内でありだと思うけど、あまりにもリアルな出来であれば、それは規制対象の写真・動画・画像と変わらんと。「ほぼ写真じゃん」みたいな完成度の高いものは、写真と同様の扱いになるリスクはある。ま、マンガ・アニメ好きは普通にしてれば問題ないと思いますがね。

杓子定規な判定をしない

それより問題はこの部分。最近の日本が苦手とする部分。結局ですよ。どんなことにもグレーな部分はあるんですよ。「そのぐらい見逃せよ」というライン、線引きはある。
例えば親による我が子の画像。たとえポルノ的であっても、これはOKにしないと困る。杓子定規に「こういう画像所持は法律違反です」ってされちゃねえ。それで商売しようとしたら親の風上にもおけないヤツなので取り締まりアリだけど、持っているだけならねえ。見逃せよと。「児童ポルノはけしからん」という趣旨にも反しないわけだし。単なる親の習性でしょ。
ところがこういう杓子定規な規制ってままある。例えばデスノートの作者や、JAYWALKのボーカルが捕まったようなパターン。彼らはアーミーナイフの所持で捕まったんだけど、あんなもの凶器でもなんでもないよね。単なる便利道具。それを車の中に積んでいた、銃刀法違反だってことで逮捕されたわけだけど、こういうことされると行き過ぎなわけね。銃刀法の字面としては正しいんだけど、運用としては大間違い。そりゃ凶器になるっちゃなるけど、あれでガタガタ言われてもねえ。それなら猟銃を規制しろよってな話で。最近の日本はこういう大人の運用がヘタクソすぎるので、やや不安。「明確なアウト以外はなるべくほっとく」って意外と大切なんだけどね。
ま、こういう「うまいことやれよ、うまいこと」みたいな部分は法制化できないので難しいところなんだけど、「児童ポルノは良くない」という本線から外れた運用はして欲しくないなあと。アニメ・マンガで楽しむのは想像力の範囲なんでOK。親が子の写真を集めるのもOK。このくらいはしてもらわんと、何もできなくなる。法律の字面より、運用の問題の方が気になって仕方ないですね。ボンクラ官僚(警察含む)が多いので。