(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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シンプル豚バラ焼き

塩の話をしたついで。適当に焼いて塩かけただけなのに、すんげえうまかったものを書いときます。

それは豚バラのかたまり。肉・脂・肉・脂のオセロ状態になったとこ。いわゆる三枚肉。あれは焼いただけでうまい。あらゆる肉の中で、もっとも焼きという作業と塩との親和性が高い。牛肉よりもうまい。焼いてうまい塩をパラリ。これだけでうまい。

豚バラのかたまりを手に入れる

スーパーで適当に豚バラのかたまりを買って下さい。「豚バラブロック」という名前で多分売ってます。肉屋だったら「角煮用」って言えばダイジョブです。

こんな感じの脂身がびっしりついたヤツでいいです。ちょっと高めの豚バラブロックだと、上品にもう少し脂身を切り落としてあり、肉率が高めですが、庶民はそういうところを気にしてはいけません。下品に脂身がびっしりのヤツを買って下さい。安いのでいいんです。この脂身がうまいので。
狙い目は特売の日。大体週に1回は特売にかかってます。多くのスーパーでは、店舗内の精肉部で豚肉のかたまりを切り分け、部位別・目的別に売っています。そういう店の場合、ある部位の在庫が多くなると、それを特売で処理しようとします。鮮度とか賞味期限の問題もありますのでね。なので、そういう特売にかかった日を見逃さずに買いましょう。特に精肉市場のセリ日が限られる地方の場合、それが露骨にわかります。セリ日の前日が特売日です。以上、スーパーちょっといい話。

いい塩を買う

そしてここが最も重要。いい塩を買って下さい。高い塩を買って下さい。工業塩は問題外。味塩もダメ。めんどくさがりの味方「味塩コショー」でもうまいですが、ここはちょっと奮発しましょう。
相性を考えると、赤い色の岩塩がいいです。いわゆるローズソルトとか、モンゴル岩塩。海塩よりも苦味があるなど味が複雑なので、豚の脂身の甘さを引き立てます。また、色がついていると何となくゴージャスですしね。塩が白じゃないってだけでリッチな気分になります。このあたり見た目重要。
ちょっと良さげなトンカツ屋にあるような塩を奮発して買って下さい。スーパーで売ってるヤツでいいです。ネットでわざわざ買って送料を払うようなもんでもないんで。

豚バラを切る

それでは肉を切りましょう。1センチごとに縦にズバッと切ってください。脂が包丁の刃について、なかなか切りにくいですが、ひと思いにブッツリやってください。先に1センチと書きましたが、あまり細かくこだわることはないです。大きめに切ってくれればそれでいいです。この大きさが焼きの作業で効いてくるので。

脂身から焼く

それでは焼きましょう。焼く道具はフライパンでいいです。脂はひかなくていいです。豚肉からあふれ出して困るくらいです。
フライパンを加熱し、ちょっと湯気が出てきたら、脂身の方が下になるように、肉を縦に置きましょう。ある程度のサイズじゃないと、ここで豚肉が縦に立ってくれません。豚肉を縦に置いても倒れないという目安が1センチ。そういうことだったわけです。不揃いでも何も問題ありません。まずは脂身を徹底的に焼きましょう。
倒れそうなヤツがいたら、さい箸とかフライ返しで支えてやってください。しばらくすればそいつも安定します。できないヤツを見守る温かい親の視線で支えてやってください。そういうヤツに限ってうまい肉に成長しますので。
ある程度焼いていると、肉から脂が次から次へと出てきます。そうなったら、焼いている肉をわざと脂の上に移動させてください。脂身を脂で焼く状態にします。こうすると脂身の表面がカリッと香ばしくなり、食感もよく、また食べたときに脂っこさを感じなくなります。非常に重要な作業。「脂身は脂で焼け」は他の肉でも転用可能な技術。覚えておくといいです。

脂をふき取る

そうこうしているうちに脂身側はいい感じに焼けてきます。焦げ茶色になる手前。このあたりがピーク。そうなったらフライパンから肉を取り除いてください。フライパン上には脂がわんさかたまっているはず。それをクッキングペーパーかなんかでふきとりましょう。「クッキングペーパーなんかねえよ」という人はティッシュペーパーでもOK。要は脂がフライパンに残ってなければいいんです。フライパンを洗ってもいいし。
ただ、豚の脂は冷やすと固まるので、水洗いするよりは紙でふき取ったほうが楽。ラードってあるでしょ。あれになるんですよ。白い脂のかたまり。なのでふいた方が楽です。ティッシュもない場合はトイレットペーパーでも構いません。ただ、これは最後の手段という感じがするけどね。気分的にさ。
尚、この作業は焼きながらやっても構いません。脂が出すぎて、パチパチはねるようなら、余計な脂を随時取っていってもいい。ここは臨機応変に。

他の面を焼く

あとは適当に他の面を焼いて下さい。普通に焼いて下さい。オレはいつも脂身の逆サイドを焼いてます。まずは焼きにくい縦方向、そして焼きやすい横方向という順番。焼き加減の目安は脂身と一緒。見た目がうまければ良い焼き加減。見た目がまずければ焼きすぎです。見た目で判断して下さい。見た目がうまいものにハズレはあんまりないものなんで。
あとこれ重要。脂はこまめに処理を。脂身サイドと違い、肉サイドは脂の上で焼かない方がいいです。肉は脂を吸っちゃうので。ちょっとくらいならいいけども、あんまり脂を使って焼いちゃうと、香ばしさと引き換えに失うものが大きい。脂肪分が少ない牛肉とかだったら、多めのバターで焼いたりしたほうがうまいんだけどさ。
これ忘れずに。
「脂身は脂で焼け、肉はそのままで焼け」
リピートアフタミー。イエス、そういうことです。

塩で食え

焼けたら塩で食いましょう。肉にパラリとかけてもいいし、小皿に塩を入れ、そこに肉をつける刺身スタイルでもいいです。
……どうです? 脂身はサクッ、肉はジューシー。単なる豚バラ焼きなのに、うまくねえですか? 焼いて塩味つけただけで、劇的にうまくなります。
慣れてみたら、塩に胡椒を混ぜてみるのもいいかも。胡椒は肉と相性がいい。オススメは粗引きの黒胡椒。粗めの岩塩に、粗めの黒胡椒はベストマッチ。白胡椒じゃダメです。黒胡椒。豚バラには断然黒です。ここアンダーラインね。
あとはあまり工夫しすぎないこと。これはシンプルだからうまいのです。手を加えすぎると、かえってうまくない。豚バラを焼いて塩で食う。やってもあとひと工夫まで。シンプルさがうまさの理由。手を加えれば加えるほど、うまさが飛んで行きますので。黒胡椒を足すくらいで十分だと思うけどね。
是非お試し下さい。