(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

「つゆ」と「ダシ」

うどんが好きなわけですが、ダシは関西風が好きなんです。白ダシ派。あんまり醤油が濃いのはちょっと。博多みたいなのは好きだけど、関東のは濃すぎる気がするんです。関東人ですけど。
でだ。「ダシ」という言葉が出たからついでに書く話なんだけど、この「ダシ」という言葉がおもしろいよね。

東の「つゆ」、西の「ダシ」

東では麺を食べる際、麺にかかっているもの、つかっているもの、つけるもの全般を「つゆ」と呼ぶよね。で、「つゆ」の味の抽出物が「ダシ」。カツオブシとかで「ダシ」をとり、かえしなんかと合わせて「つゆ」をつくる。
ところがね、西は「つゆ」という言い方をあんまりしないような気がするんです。何でも「ダシ」なんですよ。麺にかけるもの、麺をつけるもの、全般的に「ダシ」。なので「イリコダシのダシ」というややこしい表現が通る。味を抽出したものが「ダシ」であるし、ダシをとったものからつくった麺を食べるための液体も「ダシ」であるので、「ダシのダシ」というものが成立するわけですよ。

そば文化とうどん文化の違い?

でだ。この違いを考えるに、背景のひとつとして、そばとうどんの差があるのではないかと。さすがに西の方でも「そばのダシ」という言い方はあんまり聞かないのよ。「ダシ」はもっぱらうどん。「うどんのダシ」という感じ。基本的に「つゆ」というものは、麺をつけて食べるための液体って捕らえ方をするといいのかな? 盛りそばの「つゆ」が典型だけど。
一方、うどんの場合、「つゆ」という言葉がそもそも登場しない気がしております。もっぱら「ダシ」。きつねうどんは「ダシ」につかった状態で出てくるし、ぶっかけうどんの場合は「ぶっかけダシ」という言い方をする。盛りうどん・釜揚げうどんも「ダシ」につけて食べるものだなあ。単に「ダシ」とか「つけダシ」と呼んでる気がするし。「つゆにつける」という用法を聞かん。

汁につけて食べる文化は共通なのにね

東も西も、そばもうどんも、麺を醤油(かえし)ベースのものにつけて食べる習慣はあるのに、かたや「つゆ」。かたや「ダシ」。同じ日本の、同じ麺文化なのに、言葉がここまで違うのはおもしろいですなあ。「アホ」と「バカ」の境界線みたいに、「つゆ」と「ダシ」にも明確な境界線があるのかなあ。あるとしたらやっぱりフォッサマグナあたりで割れそうな気がしますが、こういうのって東でもうどんメインの場所があったり、西でもそば文化の地域があったりで入り組んでておもしろそうだなあ。
皆さんの場所ではどんな感じですか?