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新宿にさぬきうどんがまたひとつ - 楽釜製麺所

新宿にさぬきうどん店がオープンしたというので行ってみた。


「東方見聞録」「月の雫」なんかの居酒屋を主にやっている三光マーケティングフーズのお店。居酒屋だから夜に強い会社なはずだけど、この店は朝7:30開店。場所柄的に、朝、出社前に一杯食べてくのもいいね。
システムはセルフ。入り口でうどん→オプション(天ぷら・おにぎりなど)を取り、流れで会計。会計後、自分でダシや薬味をかける。丸亀製麺はなまるうどんとの差は、自分でダシをかけるかどうか。あちらはかかって出てくる。こちらは自分でかける。そういう意味で、セルフ度としては麺通団と一緒。

とりあえず麺の味を見るために冷やで。温かいうどんより、麺の感じがよくわかる。おろし醤油の大、430円。

ふむ。なかなかうまい。麺はやや平べったいタイプ。感触はグミのようで、柔らかくも歯ごたえがある。むにむに。麺通団は宮武系のゴチッとした麺だが、こっちは対極。俺はこっちの方が好きかなあ。
またダシ醤油もいい感じ。甘くてダシっぽい醤油。塩分が立ちすぎていないので、うどんとのマッチングがいい。またオプションの天ぷらが熱々でうまい。特にオススメはとり天。メチャメチャ大きく、身もジューシー。よくよく考えれば居酒屋業態がメインの会社なので、揚げ物はお手の物。そりゃうまいわな。
かけダシもチェックしてみたが、ダシはややあっさりすぎるかな? 讃岐風というよりは中途半端な関西風という感じ。讃岐風にするならいりこが足りないし、関西風にするならカツオブシが足りない。ちょっとダシとしての香ばしさが足りないのよね。ま、うまいことはうまいんだけど、もう一押しかなあ。「さぬきうどん」を名乗るなら、このあたりもしっかりして欲しいんだけどね。

ついでに釜玉も食べてみた。釜たま並330円。温かい麺も食べなきゃだ。

自分の好みとしては冷たい方がいいかなあ。熱に麺が負けてる。温かい分、麺が柔らかくなって食べやすいんだけど、その分、コシがない。もうちょっと太い麺ならもう少しコシも残るんだけど、バランス的にコシの残りが少ないので、冷たい方が真価を発揮する麺じゃなかろうか。
あと、これは営業まもなくということと、さぬきうどんに詳しいスタッフ不足によるものなんだろうけど、釜玉の工程にいささか疑問がある。
ひとつは麺の上げ。釜玉うどんは釜揚げうどん、即ち茹で立てのうどんを締めずにそのまま釜から出して、それに卵をあえて食べるもの。なので、釜揚げうどんという性質上、うどんの茹で上がりしか本来食べられないはずなのだけど、ここは常時麺を茹でていて、釜玉の注文がある度に、麺が入った茹で網から麺を出していた。これだと本当に釜玉としておいしい麺の茹で上がりなのかが微妙だし、茹でっぱなしの麺はどうなんの? という問題があるので、見ていて不安。その茹でっぱなしの麺を水で締めて、ざるうどんとかで出されてもねえ。うどん好き的にはそういうのを「小麦粉の死体」と呼ぶわけで。
さぬきうどんを看板にしているのに、そういう微妙な釜揚げうどんの処理で大丈夫? 見ている人は見てるし、さぬきうどん好きにはすぐわかることよ。ましてオープンキッチンなんだし。

参考まで。
もうひとつは、その釜揚げうどんと卵のあわせ方。茹でたて熱々のうどんに卵をあわせるから、卵に熱が入ってカルボナーラみたいになる。だから釜玉はうまいのだけど、ここはその「熱々」に対する工夫が足りない。

麺の上にポンッとのせるだけ。

だから卵にイマイチ熱が入らない。これはこれでクリーミーでうまいのだけど、本来の釜玉とはちょっと違う。
なので、こういうセルフ方式で釜玉を出すなら、卵を先に丼に入れて、その上に麺を入れるとか、先方で2、3回卵をからめて、最低限の熱入れをするとか、カルボナーラ状になる工夫が欲しいのよね。そうじゃないと釜玉の魅力が半減する。
「こちらで混ぜてもよろしいですか?」
くらいのことをしてもいいくらい。クリーミースタイルが好きな人は、そこで断ればいいだけのことだしさ。
まあ居酒屋さんの新規出店っていうことで、まださぬきうどん自体に詳しくないという印象をそこかしこに受けたし、店員さんも不慣れな感じだけど、味はなかなかだし、場所もいいので、通う価値はあると思います。味も値段もなかなかだしね。
新宿でのうどんの選択肢が増えて、悩ましいことですなあ。