なんと言うか……。
ここでは死刑制度の善悪は触れない。この話をはじめると難しい。命あるものが、同じ命ある者の生命を奪って良いのか。こんな問いに絶対的な正義とか、正しい結論があるわけがない。
なので、とりあえずここでは事実だけを踏まえて書く。
- 日本の最高刑は死刑である。
- 殺人罪の最高刑は死刑である。
刑法 第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
- 被告は殺人罪を犯した。
- それもかなりの残虐な手段、経緯で。
- 裁判では残虐な手段で殺人が行われたことは認定されている。
判決では、検察側が起訴状、冒頭陳述を通じて主張してきた犯行内容が全面的に認定された。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090222/trl0902221300000-n1.htm
これで最高刑が下されないとなると、どうすりゃいいんだろうね。「ひとりならセーフ」って基準になりゃせんかね。「どんだけひどいことをしても、被害者がひとりならば最高刑にならない」って基準になりゃせんかね。じゃ、どうすれば最高刑になるんだい? ひとりの生命を奪っているのに。ひどいことしているのに。報道されているだけで十分ひどいんだぞ。あまりにおぞましくて、調書の文面を見てられないくらいひどいんだぞ。
「無期懲役はおかしい」という話じゃないんだ。「これで最高刑じゃないのはおかしい」という話なんだ。日本の最高刑が、殺人罪の最高刑が無期懲役であったなら文句言わない。今回下された無期懲役という判決が、日本の、殺人罪の最高刑ではないから文句を言っている。最高刑から減免された刑になっているから文句を言っている。
- これで最高刑でないなら、最高刑がある意味は?
- 人ひとり殺しても、最高刑にならないの?
- いったいどういう殺し方ならば、被害者ひとりでも最高刑になるの?
疑問。もの凄く疑問。そしてだ。
- 今回の事件より、ひどい殺し方ってあるの?
これに答えがないなら、人ひとりの殺人では、日本では最高刑が適用されないということになる。被害者はふたり以上ではない限り、最高刑は適用されないということになる。これ以上むごい犯罪はないだろ。ないってことは、もはや有名無実ってことだろ。
地裁は26年前に最高裁が提示した“死刑基準”をベースに量刑を検討。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090222/trl0902221300000-n1.htm
検討された結果、この事件までは最高刑は適用されないという「基準」ができてしまった。「ひとりならセーフ」という基準ができてしまった。
果たしてこれでいいんでしょうかね。人ひとり殺されても、最高刑が適用されないって、どういうことなんでしょうね。だとしたら、最高刑ってなんでしょうね。
俺はどうもわかりませんよ。最高刑を適用するかどうかの妥当性という観点はどこへ行ったのか。疑問であります。