(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

しょっぱい卵焼き・甘い卵焼き

タケルンバ家はしょっぱい卵焼きだったんだけど、甘い卵焼きが一般的だと後で知って驚きだったなあ。

卵焼きって各家庭ごとに違うよね。うちは塩味でしょっぱくするんだよ。卵をといて、塩を混ぜる。その方がおかずになるんですよ。冷えてもうまい。お弁当のおかずにぴったり。ただ、甘い卵焼きがきらいってわけじゃないのね。それはそれで結構好き。甘いやつに醤油をたらしてもうまいよなあ。大根おろしがあれば、それもまたいいよねえ。また、焼きたてのホカホカもいいし、冷やして味が馴染んだヤツもいい。卵焼きってば、なかなか乙なヤツだよねえ。
ま、長年馴染んだのがしょっぱい卵焼きなんで、しょっぱい卵焼きの場合、無条件にDNA的なものが刺激され、条件反射で「うまい!」と思ってしまう傾向はあるけども。染み付いてるからね、舌に。馴染みがある分、判定はどうしてもゆるい。ただ、甘い卵焼きだって、うまいのはうまい。しみじみ「おいひい……」ってなっちゃうよね。
中でもだし巻き卵が好きなわけですよ。いいとこのだし巻きはやはりうまいね。卵焼き専門店のヤツとか。確実にうまい。ただ、旅館とかの朝食に出てくる卵焼きは、裏事情を知っているだけに、どうもね。あれ、大体小僧がつくるんですよ。夜、作業のしまいのときに「おい! 明日は3本な!」みたいな指示されてつくるものなんですよ。一晩馴染ませるために、前日の夜につくるものなんです。夜のうちに焼いて、簾に巻いておいて冷やしておく。で、翌朝は切り分けるだけ。余ったら賄いに登場と。そういうものなんですよ。大抵、夜にこつこつ小僧が焼いてる。
だから「わー、きれいねー。さすが板前さんがつくると、こんな卵焼きになるのねー。ステキだわー」って言う会話が聞こえると、何だか申し訳なくて。「すいません。それ、一番の下っ端が焼いたヤツなんです。料理歴3年未満です……」みたいに思っちゃうわけで。「ほめていただいて、どうもすみません」という感じです。イカの刺身とかも切れたのがくるから、「うわあ、細いわねえ。切るの大変よねえ」とかってほめられても、それって魚屋さんが……あ、話がそれましたね。暴露大会にしてもしょうがないですね。
話は卵焼きだ。ま、こういう食事の好みって誰しもあるし、家庭ごとにあるし、しかも家庭の味以外のを知るのが、意外と後になってからになるので、結構なカルチャーショックをともなうわけだ。弁当の卵焼きを交換してとか、出かけ先で食べてとか。自分の世界に慣れ親しんでいる期間があまりにも長いために、それ以外の世界を信じられない。衝撃が大きい。
よく言われるのはうどんのダシの東西差だけど、例えば天津丼のあんの色だって東西で違ったりするわけよね。西は白い塩味のあんだったりするわけで。ま、うどんほど明確な分岐はないけど、天津丼のあんが白かったときは衝撃だったなあ。逆に西の人は東京で天津丼を食べて「くろっ!」と思うらしいけど。常識が覆される瞬間のリアクションっておもろいねえ。
果たして卵焼きのしょっぱい・甘いは地域差はあるのかなあ。他の食べ物と比べて、あんまり地域性はない気はする。全般的に甘い味付けの卵焼きが多いし。
ただ、元をただすと京都の味付けが全国に伝播した可能性もあるので、一概には言えないんだよなあ。料亭なんかでは、いまだに京都が中心みたいなところがありますからねえ。関西の味付けが関東に持ち込まれている部分は相当あるので。
となるとしょっぱい卵焼きは関東ならではの可能性もあるんだけど、九州の知り合いで「うち、しょっぱい卵焼きだよ」ってのもいるので、これまた難しいんだよなあ。九州では甘い卵焼きが圧倒的だという話なら、「しょっぱい卵焼きは関東起源」って仮説の信憑性も出てくるんだけど、一筋縄じゃいかん。四国でもしょっぱい卵焼き食べたことあるしなあ。むむう。
卵焼きの地域性。なかなかおもしろい研究になりそう。皆さんの家の卵焼きはどんな感じ?