(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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客も店もうまい宴会コース

居酒屋ついでにもうひとネタ。宴会コースってありますよね。2時間飲み放題のプラン。あれについて。
あれ、客にとっておトクかというと、基本的にはおトクだと思うんですよね。食べ物コースがあって、それに1,200〜1,500円上乗せで、飲み放題がつくと。で、飲み放題なしにした場合、その上乗せ分の料金で飲めるのは、たかだか3杯くらい。3杯でイーブン、4杯飲めばおトクと考えると、客にとって悪くない話なわけですよ。ウーロン茶だって1杯300円くらいするわけで、お酒が飲めない人でも、折り合いがつけられる額でしょ。30分に1杯、2時間で4杯。現実的な線じゃないですか。
一方、お店側としてもトクなんですよね。いろいろトク。

時間が計算できる

何せ利用が2時間に限定されるので、いろいろ計算できるわけですよ。長居されるリスクが少ない。一般的な利用の場合、長居されたとしても、なかなか「帰ってくれ」と言えないわけですが、あらかじめ2時間という制限をうたっているわけですから、堂々と「お時間になりました」と言える。これは店側にとってメリット。

料理出しをコントロールできる

調理場の処理能力として困るのは、集中したタイミングに、同じジャンルの注文が集中することなんです。
どういうことかというと、一般的な居酒屋の調理場では、その料理のジャンルごとに担当者が別れている。揚げ物担当とか、刺身担当とか。このどれかひとつに注文が集中すると、当然に遅れるわけですね。揚げ物であればフライヤーの処理能力に限界があるし、刺身であれば、包丁で刺身を切る処理スピードにも限度があるっちゅう話で。
その点、宴会コースというのは、サラダ的な前菜ものからはじまり、焼き物があったり、揚げ物があったり、鍋があってとジャンルが微妙にばらけてます。同時に各担当が調理できるわけですよ。そしてばらけているから、宴会に集中して、宴会以外のお客様への対応が遅れるみたいなリスクも少ないと。そういう感じなのですね。

人数のわりに品数が少ない

人数が多いと品数が増える傾向があるんです。ちょっとずついろいろ食べたいでしょ。そういう好みってあるし、人数が多いわけだから、ひとり当たりの食べられる量が減るので、そりゃあ品数は増えるよって話です。
ところが、宴会コースだとその品数が少ない。食べる側としては刺身やら何やら、一通り食べてるし、いろいろ食べているわけで満足感があります。問題はない。でも、品数で見ると、通常の利用時よりは少ない。人数分どかーんと来るので、品数は減る傾向にあるんですね。その減少分だけ調理場はラクなんです。通常利用よりは。

客単価が高い

あとね、単純に売上的においしいんですよ。居酒屋業態は各社どこも利益の大半を12月に稼ぐんですが、これってやっぱり忘年会需要だし、宴会が多いからなんですよね。で、宴会が多いと客単価が上がるんです。客単価が多い上に、2時間で席が回るんで、売上も増えるんですよ。
居酒屋の飲み放題つき宴会コースの料金を見ると、大体どこも3,000円とか3,500円。一方、客単価は安い業態の居酒屋で2,000円前後、真ん中で2,500円。アッパークラスで3,000円あたり。とこんな感じなので、宴会コースをとれば売上確定。客単価アップ確定。経営的にニンマリなのですな。「宴会をとれ!」は12月の居酒屋業界の合言葉みたいなもので、はい。
そういうメリットが店側にあるので、「幹事様1名無料!」みたいなサービスもあったり。10名以上とかだと1名分無料みたいなのがありますけど、あれって「1名分サービスしてもトク」という計算があるからできる話なわけで。

  • 3,000円×10名=30,000円

通常はこう。

  • 3,000円×9名=27,000円

幹事分サービスするとこう。「10人中、1人タダ!」って言うと何かメチャメチャトクな気がしますが、要は1割引だし、人数が増えれば割引率はもっと下がる。20人なら5%引きだし、40人なら2.5%引きになるわけですよ。
そして割り引いたとしても、ひとりあたま2,700円。ということは、大概の店舗の客単価はクリアしてるものなんですよ。そして、そうなるようにどこの店も値段設定しとります。
とまあ、客も店もWin-Winになるようにサービス設計されているので、是非宴会コースを使って欲しいですね。ガッツリ飲む人は特に。
ま、そんな飲まない人は通常コースにするといいと思いますし、飲むがメシいらないという人はボトルを注文するといいと思います。一番安く飲むならボトルですよ。
以上、何故か続く居酒屋ネタでした。