(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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夕食にならないうどんの悩み

うどん関係者と話したときに必ず出る悩み。それが単価の安さ。他の麺類、そば・ラーメン・パスタなんかと比べると、安価でないと勝負しづらく、値上げしにくいと。関係者一同結構困ってる。「何で他の麺類に比べて安いイメージがあるのか」「値段を上げられないのか」と。
この理由を考えるに、食習慣の問題って大きいんだよな。

夕食に向くか向かないか

このあたりが原因。うどんってお昼に食べるイメージで、ご馳走ではない日常食。「ムードを盛り上げて、シメはうどんで!」みたいなストーリーにならんよね。あくまで気軽に食べられるもの。ハレの食べ物ではないというか。「さぬきうどんブーム」の影響もあるだろうし、「はなまるうどん」「丸亀製麺」なんかが作り上げたイメージであるんだろうけど。
そば・ラーメン・パスタとかだと夜に食べても問題ないイメージがあるし、ご馳走感とか、ハレ感とかもあるし、夕食っぽいイメージもある。なんとなーく「麺類=昼」というイメージがあるんだけど、うどんと比較して夜もいけるというか。うどんだけ極端に昼専用感が強いんだよな。不思議と。

外食での昼食の平均額は約850円、夕食は約1800円であることが分かった。

外食で昼食・夕食食べる時、二つに分かれる支出金額 - ガベージニュース

昼食か夕食かで予算も2倍違うわけだし。客単価が2倍って凄いことだからのう。うどん屋さんがそば屋・ラーメン屋・パスタ屋をうらやましく思う気持ちはよくわかる。

こってりメニューがない

うどんが何故夕食に向かないかというと、こってりメニューがないのよね。「ガツン!」と来るものがない。うどんという麺自体は、他のものと比べ太い分、ガツンとくるんだけども、汁・具がガツンとこない。麺のガツンがあるために、他のガツンがない。
ラーメンとかパスタと比較すればよくわかるよね。要するに脂肪分が少ない。脂肪分って、なんだかんだで満足感につながるしな。「ふー食ってやったぜ!」って。ま、うどんだって満足感があるし、俺はだからうどん好きなんだけど、脂肪分の満足感に比べるとわかりづらい。あっさりしてるんだな。で、またそのあっさり感こそが日常食ということで、非ご馳走である証明なんだけども。
こってり感を演出しようとするとパスタと差別化できんしな。所詮小麦粉。最終的にはメニューが似る。そうなるとうどんの良さも殺されちゃうわけで。むう。
となると現実的にはこのあたりになっちゃうのよね。

辛さとの組み合わせ

カレーうどんは定番だけども、韓国風のうどんでもいい。他の麺類と比べ、辛さとの相性がいい。唐辛子方面は比較的無難。
日本ではあまり馴染みのない「酸っぱ辛い」のを目指してもいいんじゃないかな。タイ風でもいいし、卵も入れて酸辣うどんでもいいし。

焼く・炒める

茹でると油が登場する場面がないけども、焼く・炒めるなら活躍する余地がある。肉と合わせても冴えるし。
牛すじとの相性は異常。

シメうどん

あるいはうどんをシメにしてもらう。うどんの中では「稲庭うどん」がやや単価が高いように見受けられるんだけど、稲庭うどんってシメイメージがあるんだよな。夕食として食べるのではなく、お酒のシメとして食べるもの。
こっちの方が無難なのかもな。こってり路線はバッサリ諦めて、ひたすらあっさり方面を目指す。オサレうどん屋でオサレにうどんでシメるデートコースがイメージできるような。そういう店、そういうシチュエーションがあるといい。
しかしまあラーメン・パスタはともかく、うどんとはどこで差が生まれたんだろうなあ。同じ日本で食べられてる麺なのに。ふぬう。なんだか不思議なもんですね。

追記(2010/01/15 1:00)

うどんが安い仮説をふたつ追加で思いついた。

麺打ち人口の差

うどんを打てる人の数に比べ、そば・ラーメン・パスタが打てる人って少ないような。特に「家庭で」という風にシチュエーションを限定すると余計に。
うどんを打てるおばあちゃんて昔よくいたじゃない。でもラーメンとかパスタを打てるおばあちゃんっていないよね。ま、そこまで昔から日本にある麺じゃないからだけども。また身の回りにそばが打てる人って、うどん打ちよりは少ないのよね。そばの方が難しいからだと思うけど。そば粉って難しいからね、生地にするの。十割そばなんか特に。だから小麦粉とかのつなぎを入れるわけなんで。
で、家で作れるとなると、外食で食べようという動機も減ると。家で作って食べるもので、わざわざ外で食べるものじゃない。うどんを良く食べる地域=粉食文化がある地域ほどそういう文化があるんじゃなかろうか。

味付けの簡易度

うどんってさ、醤油をタラりで十分うまいのよ。もうそれだけでいい。しかしそば・ラーメン・パスタはそういうわけにいかん。そばを食べるには「つゆ」が「ダシ」がいる。つゆを作るには醤油を寝かしたりなんだりの「かえし」を作ったり。下手すりゃウン年くらいの工程だったりする。ラーメン屋であればスープ。「煮込んで一昼夜」とか。パスタ屋はソースだな。あるいは具も必要か。もちろんうどんだってそういう工夫も必要なんだけど、「なくてもいける」という違いがある。下限が思いっきり低い。それこそ「適当に醤油かけとけ」でうまい。
そういう「最低限食べるための手間賃」みたいな差があるのかも。そばとして、ラーメンとして、パスタとして成立させるためのコストがよりも、うどんは安い。醤油だけで済んでしまう。
そういうところかな。ま、仮説に過ぎませんけども、ええ。