(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

すべては選挙で裁かれる

いやあ、凄い結果になりましたねえ、総選挙。なかなか興味深い結果になりました。
まさかここまで民主党が圧勝するとはねえ。民主党が308議席。300を超えるかという事前の予測通りの結果。選挙による政権交代がついに実現する運びになりましたねえ。
で、個人的には政権交代論者なので、今回の選挙結果は大変喜ばしいものだと思ってます。別に民主党支持じゃないんだけど、政権交代は起きて欲しいと常々思ってたんで。どこかの政党を支持しているというよりは、政権交代を支持しているんです。

政権の棚卸し

新政権にはこれをやって欲しいわけですよ。棚卸し。これまでの政権が何をやっていたか。これの検証。モノを使う会社で月末にやっている棚卸しのように、新しい政権があちこちの棚や引き出しを点検する。何があって、何がないのかを確認する。そして出てきたものをベースに、以前からの差をはじき出して、その差からこれまでやってきたことは何か。そしてそれが正しかったのかどうなのかを調べる。
これをやって欲しい。そして政権交代はこれができるから意義があるんだと思ってる。
逆に言うと、日本にはこれがなかったんです。ずーっと自民党政権だったから。細川・羽田政権の一時期を除き、自民党は下野したことがなかった。なので、自民党以外による検証がなかった。客観的な棚卸しがなかった。なので正しい数字が得られない。検証にたえるデータが得られない。それが得られるだけでもいいのかなあと。客観的な検証が可能になるって大事なことだと個人的には思ってるわけです。

「見られる」意識

これが緊張感のある政治にもつながるしね。これまでの政権では、棚卸しされるという実感がなかった。それは与党もそうだし、官僚もそう。政権外の第三者から見られることがなかった。見るのは与党の人間と同じ官僚。内輪の人間。外部から見られるおそれがなかった。
しかし政権交代が起きたことで、これまでの行いをすべてチェックされることになる。見られることになる。見られることになれば、変なマネができない。これがいい緊張感になるのかなあと。少なくても見られる意識があるとないかでは、行いに対する律し方にも違いがあるだろうし。善人は人が見てる・見てないで行いを変えないだろうけど、世の中は善人だけじゃないからなあ。人に見られないことで、悪人に変わる人だっているわけで。それを防ぐメリットはあるはず。
そしてこれは民主党にもあてはまる。今回政権を得た。しかし勝ったのはあくまで今回の選挙。次回はわからない。
考えてみれば今回の選挙前、自民党は300議席あって、民主党は115議席だった。それが今回の選挙の結果を受けて自民党119議席民主党308議席となった。立場は逆転した。正反対の勢力構図になった。
思えば前回の郵政選挙、小泉旋風が吹いて民主党が惨敗した。当時は「二大政党制は遠のいた」「民主党の復活には時間がかかる」「政権交代はしばらくないだろう」と言われたものでしたよ。それが4年後、見事に逆転した。郵政選挙で大敗した民主党が今回大勝し、郵政選挙で我が世の春を謳歌した自民党が今回大敗した。郵政選挙で敗れた民主党の元職が復活し、閣僚や党幹部の要職を占めていた自民党の前職が議席を失った。
この逆は次回の総選挙でも起こりえるわけです。となると民主党だって見られる意識がなければやっていけない。今回の自民党の状態は明日の我が身。そういう意識がないとやっていけない。少なくても4年前にそれを味わっているわけでしてね。現実味のある話。
そう考えていくと、今回の選挙による政権交代はとても意義深いのかなあと。政権交代が起こるということを現実にした意味で、そして政治に携わる人間に見られる意識の必要性を植えつける意味で。政権交代が直ちにいい政治になるとは言えないし、民主党政権だからいい政治が行われるとは必ずしも言えない。しかし長期的に考えるならば、見られることでヘタな真似はできないようになる。その効果は日本の政治にとってメリットになっていくような気がしますよ。悪いことをしたら政権交代したときにばれる。その「ばれる」が現実的になったことが、政権交代の意義だと思うわけですね。

与党に厳しく、野党に優しく

でだ。個人的には政権交代が現実に起きたわけで、もう民主党を応援する理由がないわけです。民主党を応援してたのは民主党が好きだからではないし、自民党が嫌いだからでもない。政権交代があった方がいいから、自民党の次に大きい政党を応援する。ただそれだけのこと。政権交代が起きてしまえば、今後のことは別の話。
これまでは政権与党ということで、権力を持っていたから自民党には厳し目に見ていたけど、今後は優し目に見る。次回の選挙のときに、民主党に取って代わって政権をとる政党がないと困るのでね。自民党自民党で頑張れと。政権に対する対抗勢力がないと困る。自分はどこかの政党支持者というより、政権交代を支持しているので。その信条はこれからも多分変わらない。政権交代がいつでも現実になるように、ある程度対抗勢力にも頑張ってもらわないと困る。
一方民主党については、これまで野党というわけで甘めに見ていたわけですが、今後は辛めに見る。与党なので権力があるわけでね。言うだけ番長では困る。できる立場にいるんだから。それが与党という立場なんだから、実際にやってもらわんと。で、そのやったことの結果が問われる。過程より結果。国としての利益を実現するという結果を出さなきゃならない。
とはいえ、最初の半年は様子を見たいけどね。アメリカでも「ハネムーン期間」ってのがある。新大統領が就任してしばらくは優しく見ると。しばらくは厳しく言わない期間があるわけだけで、最初は様子を見たい。まして久々の非自民政権だしね。何が起きるかごろうじろ。
ま、いずれにせよ民主党がダメなら次の選挙で「No」を突きつければいいんだし。少なくても来年には参院選があるし、遅くても4年後にはまた衆院選がある。民主主義はベストの制度ではないけど、ダメなものを代えられる程度にはベターな制度ですからねえ。ダメなものを代えられることは、今回の選挙でよくよくわかったことでしょうし。有権者が動けば政権が代わるわけでね。そういう選挙から派生する様々な意義がわかったということが、今回の選挙のポイントなんでしょうね。
ではこんなところで。