(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

なんで本の福袋がないんだろう

2日の朝に京都にいたのだけども、初売りということで、どこの百貨店にも福袋を求める大行列ができていた。
ま、これは京都に限らず、小売の現場では毎年の風物詩。一昨日はテレビで渋谷109の福袋戦線の模様を見たが、あれは凄いな。戦場だな。場立ちがいたころの東京証券取引所を思い出した。
「買いだ、買い!」「売るぞ!」
鉄火場。
で、ふと思った。
「なんで本の福袋ってないんだろう」
いや、理由はわかってる。再販制度のせいだ。

日本では基本的に本の値引き販売が認められていない*1。定価販売しかできない。それだと福袋が作れない。作ったとしても単なるセット。福袋が魅力なのは、本来の価格よりも安いからであって、安いからこそ中身がわからなくても買う。いらないものが混じっていても、トータルではお得だからという損得勘定で買う*2
けれど、これが定価なら意味がない。欲しい本をバラで買えばいいだけのこと。価格が同じならば、ハズレを引くリスクを避けた方がいいわけで、自分が思う当たりだけを買えばいいのだ。
しかしこれってもったいない。せっかくのお正月商戦をまったく無駄にしている。「服より本」って人は一定数いるだろうし、「本の福袋があれば買う」という人もいるはず。どうせ正月は休みなわけで、本を読む時間もある。初売りで本をドカッと福袋で売りつければ、新たな需要を掘り起こせるかもしれない。
「名前だけは知っているけど、まだ読んだ事ない」
こういう人向けに福袋を売る。「伊坂幸太郎福袋」でもいいし、「勝間和代福袋」でもいいじゃないか。あるいは時期モノで「Twitter本福袋」でもいいし、前年の流行語関係の本をまとめた「2009年流行語福袋」でもいい。
「安いから買ってみよう」
こう思わせて、売りつければいいじゃないですか。子どもさんもお年玉持ってるわけだし。「みんな大好きヒーロー福袋」でも何でもいいんよ。正月だけでも割引してまとめ売りすればいいと思うなあ。
少なくてもブックオフはそれをやってる。

中古本だからできることなんだけど、中古ができて新品ができないというのも不思議な話で。逆に言うと、新品の方でやってないから、中古の方でやられるわけでしょ。福袋という日本ではおなじみの販売方法がありながら、新品本の分野ではできないから、ブックオフにやられるわけで。
個人的に本の価格維持という観点で、再販制度は必要だと思ってはいる。こういう仕組みがないと、本の価格は下がる一方。最近の牛丼の価格みたいに、値が安いところに合っていく。しかしですな、あまりに弾力性がない制度というのもどうかと思うわけね。限定解除の仕組みも必要だと思うわけ。例えば「正月三が日は福袋における割引販売おk」とか。こういう「365分の3」程度の例外はあってもいいと思う。
こういう例外があれば書店が店頭にある本を組み合わせて福袋にできるし、取次が売れ線を組み合わせた福袋を作って書店におろしてもいいだろうし、出版社が直販で福袋を売ってもいい。講談社が自分とこで出した新書をまとめた福袋を作ってもいいわけだし、集英社が「ジャンプコミックス福袋」とかやってもいいし。少年大喜びだろうよ。
不況、不況と言うものの、それでも人はモノを買う。安いモノ、安いモノに流れつつも、それでも人は新しいモノを買う。であるならば、本もそれにのらない手はないと思うんだ。せめて正月三が日だけ。思いっきり本を詰め込んだ福袋を売る。買った人は正月の間ひたすら読書。そういう新たな正月スタイルの提案はできないものですかね。せっかく福袋という文化があるんだから、本もそれにのっては如何?

*1:中古本とかの例外はあるけど

*2:渋谷109のケースだと、客同士、いらないものを109前で物々交換してた。実に賢い