(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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政策決定一元化をするなら、幹事長は入閣させた方がいい

政治過程の話として、非常に興味ある話題ですな。

今後の教訓となる話でもあるし。もし、こちらで指摘されているように、構造の問題であるならば、制度設計で解決できるはず。だとすれば、もっとうまいやり方としての政策決定一元化の方法が見えてくるはずだし、そういうアイデアも出てくるであろうというもの。
ただ、自分が考えるに、どうも政調の有無が問題とは思えないのよね。

政策決定は政府ではなく、党側の最高権力者小沢一郎幹事長に集約されており、彼が矛盾した二律背反の要望を出しているからだ。

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に問題の原因があるのなら、解決方法は政調の設置ではなく、小沢一郎に矛盾した二律背反の要望を出させない制度設計にあるんじゃなかろうか。党としての機能を幹事長である小沢一郎に集中させたことが問題なのではなく、集中させたその幹事長という役割のあり方に問題があるんじゃなかろうか。
結論を先に言えば、「入閣させるかどうか」がポイントなんじゃないのかなと。現在、小沢一郎が政府に対して二律背反の要望を出せるのは、民主党という与党の実質トップでありながら、政府に対してはフリーの立場であるという点が大きい。彼は与党の人間であって、政府の人間ではない。与党の決定は彼が行うが、政府の決定には一切タッチしない(という建前になっている)。つまり都合がいい。都合の良すぎる立場にいる。
例えるなら、資本関係のほとんどない子会社が民主党。親会社であるところの持ち株会社が政府。資本関係がないから、子会社の社長である小沢一郎は、親会社の社長である鳩山由紀夫にもバンバンものを言える。しかし親会社の経営にはノータッチ。いざとなれば「俺は知らん」と。それができる立場にある。
であるなら、幹事長を入閣させ、内閣の決定に責任を負わせるのがよろしいのではと。別に副総理格にしたりする必要はなくて、無任所大臣でもよろしい。内閣の決定に連帯させるというところがキモで、内閣の決定に参加し、その決定を責任を持って党に持ち帰る。それは党のトップの役割であるし、むしろトップしかできない役割なんじゃなかろか。内閣に連帯した党のトップという存在があって、政策決定の一元化がなされるんじゃないでしょうかね。イギリスなんかはそうなってるけども。
でだ。これが選挙になってマニフェストうんたらの話になってくると、余計にこういう制度設計があった方がいい。今は選挙がない平時だから、「政府の決定に対して党がどう思うか」の話が中心だけども、選挙時、そして選挙直後はこれが逆になって、「党の決定に対して政府がどう思うか」になる。マニフェストで打ち出した政策は、選挙に勝った以上は実現させるべく動かねばならんわけで、幹事長は党を代表して政府に実現をはたらきかける。その際に政府に連帯した閣僚であるか否かは、かなり重要な重みとして作用すると思うのよね。あるいはマニフェストを作成する時点でも。たとえ無任所大臣でも閣僚は閣僚。内閣の構成員がマニフェストにGoを出す責任者となれば、中身も精査するだろうし、選挙に勝ったら必死になって実現するだろうし。マニフェスト選挙をやろうとするなら、幹事長を内閣に加えないとダメだと思うのよね。
もちろん小沢一郎は、こういう責任云々の話があるから、しばりのある閣僚という立場を嫌ったという実情があるんだろうけども。フリーダムでいたかったんだろうな。面倒な立場は誰だって嫌だもの。でも上に立つ人間こそ、面倒な立場を引き受ける時もあると思うんだがね。ま、今後の改善点として。