こういう話はメリットとデメリットがあり、且つ、歯止めをどうかけるかなどのセットになる施策の出来にも左右される。
都市部よりも、最低賃金ギリギリの求人が多い地方にその影響は強く出るんだろうけど、ここではあまり取り上げられていない観点をひとつあげたい。それは研修手当の話。
例えば警備会社。警備会社では警備業法の規定により、雇用する警備員に対し研修をすることが義務付けられている。新人の場合は30時間。この研修を受けない限り、警備員として就業することができない。
タウンワークのサイトで東京都の警備員の仕事で検索したのがこれ。で、中身を見てみる。
◎研修30hは2万5500円支給(3日間食事含)
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事前講習4日間有(2万5500円支給)
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研修有(4日間、30時間/25500円支給)
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はかったように25,500円で横並び。
もちろんこれには理由がある。25,500円を30時間で割ってみよう。
- 25,500円÷30時間=時給850円
ちなみに東京都の最低賃金は?
850円。なんのことはなくて、最低賃金に規定の30時間をかけただけ。
これは他の地域も同様。北海道ならば研修手当は21,570円。
これは北海道の最低賃金が719円だから。
最低賃金は研修手当のような「実際の仕事ではないんだけども、人件費が発生する時間」に対する給付の下限になっており、この部分の給付カットに対して一定の歯止め効果がある。この歯止めがなくなることで、企業が本業と考えていない時間に対する給付水準が下がる可能性があるし、より積極的に悪意に使う方法として、一般的な業務を研修扱いにして給与を不当に下げる詐欺行為の温床になる可能性は指摘しておきたい。
研修手当って意外とマスコミが取り上げていなくて、盲点になっているような気がしたので書いてみた。