(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

「有害」の定義は難しいので「著しく」を入れてみました

トンデモ私案がキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
民主党の「有害コンテンツ」法案がかなり香ばしいことになっております。

たたき台(高井私案)は、まず有害情報の定義について、(1)児童(18歳未満)に対し、著しく性的感情を刺激する情報、(2)児童に対し、著しく残虐性を助長する情報、(3)児童に対し、著しく自殺又は犯罪を誘発する情報、(4)特定の児童に対するいじめに当たる情報であって当該児童に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの、と定め、児童が安心してインターネットを利用できるよう、サイト開設者、プロバイダー、国および地方公共団体がそれぞれ努力するよう求めている。

テクノロジー : 日経電子版

ん? なんじゃこりゃ。ちょっとわかりやすくするために、要点をまとめるか。内容は4項目のようだ。

(1)児童(18歳未満)に対し、著しく性的感情を刺激する情報
(2)児童に対し、著しく残虐性を助長する情報
(3)児童に対し、著しく自殺又は犯罪を誘発する情報
(4)特定の児童に対するいじめに当たる情報であって当該児童に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの

なんだよ、「著しく」って。どうなりゃ著しいんだよ。ご丁寧に4項目全部に入れおって。

「有害」の定義は難しい。そこで、私案では対象を児童と区切り「著しく」という言葉を入れることにした。

テクノロジー : 日経電子版

ってことはこういうことか。

  • 「有害」って言葉の定義が難しい
  • 法律である以上、きちんと定義せねば
  • そうだ、「著しく」という言葉を入れよう
  • これならわかるはずだ

千日手キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
「有害」の定義が難しいからって、同じように定義が難しい言葉を入れちゃ意味ねーじゃん。「著しく」の定義って何? これがねえと何も解決しないじゃん。こういう規制は対象を明確にしないといかんのです。

何を持って児童ポルノとするか。これが重要。というのも、刑罰を伴うものは「罪刑法定主義」でなきゃならんのですよ。罪とする行為はあらかじめ決めておきましょうと。事前に決めてあるものだけを罪としましょうと。
じゃないと恐い世の中になる。悪いことしてないのに「はい、それ犯罪」になっちゃう。泥棒をすると捕まるのは、それが「窃盗罪」というように犯罪と規定してあるから。そしてそれをするとどんな刑が科せられるかも決まっている。罰金とか懲役とか、あるいは死刑とか。行為と罪と罰はセットで決めておかねばならない。拡大解釈されちゃかなわんからね。泥棒してないのに「それ、窃盗じゃね?」と言われても困るわけで。

最終的には運用次第 - (旧姓)タケルンバ卿日記

こういうこと。規制をするならば、その規制対象を明確にしなければならない。あらかじめ罪と罰を明確にし、それに基づいて規制する。それが基本なんですよ。それを定義が難しいからって「著しく」ですか。で、その「著しく」とやらは誰が判断するのかね。警察? 国? そういうものに任せていいの?

まして「準」というところが引っかかる。なんだ、「準児童ポルノ」って。こういうのをアリにすると際限ないからね。何でも準児童ポルノになる。グレーゾーンもない。警察が「これは準児童ポルノです」と判断したら何でも児童ポルノなの? わしゃそういう国の方が恐いね。児童ポルノというものをしっかり定義し、それを取り締まる国がある。もう一方で児童ポルノっぽいものは何でもアウトになる国もある。どっちが恐いかっていったら後者だよ。何がアウトになるかわからんもの。

何でも規制すりゃいいってもんじゃねえぞ - (旧姓)タケルンバ卿日記

こういう怖さはありませんか? まして警察や国は合法的な暴力を持っているんだよ。

むやみに公権力に任せちゃダメ。公には限られた力しか持たせちゃいかんのよ。ただでさえ強いんだから。死刑や財産没収を含めたあらゆる暴力を合法的に認められている唯一の存在なんだからさ、国家は。

何でも規制すりゃいいってもんじゃねえぞ - (旧姓)タケルンバ卿日記

日本という場所で、唯一合法的に独占的に暴力を持っているのが国。その機関が政府であり警察であり司法。そういうところに「著しいに引っかかったら捕まえていいよ」を許することの怖さを何故わからんのだろう。不思議でならん。

「有害」の定義は難しい。そこで、私案では対象を児童と区切り「著しく」という言葉を入れることにした。

テクノロジー : 日経電子版

定義が難しい。OK、それはいいですよ。でも難しいからって、あらかじめ決めなくていいのかね。難しいからって「著しく」って言葉で逃げていいのかね。難しいからって逃げたその判断は、警察が負うことになる。警察が著しいかどうか判断をする。ということは、警察が法律の解釈を決定するということだ。それって怖くない? 警察が著しいと判断したらアウト。こういうことになる。
罪刑法定主義」っていうのはこれを防ぐためのものなんですよ。国が勝手に、恣意的に取り締まれないようにする。あらかじめどういうケースなら捕まえられるか、あるいはその捕まえる手順やら、その結果としての罰やらを法律で決めておく。だから国も警察もみだりに国民を逮捕できないし、ルールを破ったら警察が捕まる。先日も志布志事件で違法な取調べをした元警部補に有罪判決が出たばかり。

その罪刑法定主義をこの高井私案とやらは崩してしまう。国民を守るべき国会議員が、国民を危うくする法案を自らつくっている。これに物凄い恐怖を感じるわけですよ。難しいからって定義をしないことで、どれだけ怖いことになるかを知れと。その「著しく」の判断から逃げることで、誰が判断することになるか考えてみろやと。こう思うのであります。
こういう法案を政府側が出すならともかく、野党がつくるとはね。しかもリベラルを自任する政党が。まったくもって反自由主義。あきれるばかりであります。この感覚の鈍さ、なんとかならんものか。