(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

相手に合わせて踊れる上司が名上司

こういう画一的な価値観を若手は受け入れないってだけなんだけどね。

「飲みニケーション」が見直されている。「もっと部下と飲みに行け」と飲み代を支給する会社も出てきた。「若いヤツらは付き合いが悪い」なんて嘆く必要はない。アナタは上司だ。断る若手がどうかしている。もうすぐ新入社員も来る。どんどん誘ってコミュニケーションを図るべし!

ゲンダイネット - 平成の正しい飲みニケーション

これが古い。「仕事が終わったら飲みに行く」「上司に誘われたら応じる」という2つの価値観が前提になっているんだけど、そんな価値観を若手が持っているとは限らないんだよね。
「早く帰りたい」って思っているヤツがいる。彼女がいたり、趣味があったり、理由はそれぞれだけども、飲みに行くより優先すべきものがある。だから飲みに行かない。
あるいは「上司と飲みたくない」と思っているヤツがいる。仕事とプライベートをキッチリ分ける主義、上司と飲んでも楽しくない、会社外の付き合いを優先したい。これも理由はそれぞれ。
あるいは「酒が嫌い」というだけかもしれない。酒が飲めない。カラオケとかの展開が嫌い。単なる食事なら行くんだけどなあ。居酒屋よりファミレスでいいのに。とか。このように酒席を断る理由は多様で、人それぞれの価値観に基づくもんなんだよね。
これを画一的にしようとするから、上司と若手にギャップが生まれる。

  • 飲みたくないなあ
  • 「おい、飲めよ。グッといけ」
  • イヤだ、飲みたくない
  • 「付き合い悪いなあ」
  • 仕方なく飲む
  • 「飲めるじゃねえか」
  • つまらないので、ますます避ける
  • 「最近付き合い悪いじゃん」
  • 少し合わせる
  • 「本音はどうなのよ?」
  • 早く帰りたいが本音なんですが、それは言えない
  • 「酒の席なんだから、無礼講で行こう」
  • いやいや、酒席が嫌いなんだって
  • 「飲めばわかるって」
  • だから飲みたくないんだって。

こんな感じの典型的な負のサイクルを見ますよ。合わせることを社会的にひたすら要求する上司と、ちょっと合わせたばっかりに、より不快になる若手。いつまでも上司は自分が悪いと思っていないし、酒席に来ない理由を自分に求めない。これじゃうまくいかないですよね。若手は離れる一方。
何が問題って「仕事が終わったら飲みに行く」「上司に誘われたら応じる」以外の価値観を知らないんだよね。これ以外の価値観を知らない。

どんどん誘ってコミュニケーションを図るべし!

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この手段が「飲み」しかないというところが痛い。まして、誘えば来るものだと思っているのが痛い。
目的がコミュニケーションである以上、本当は自分が譲ってもいいはず。「飲み」という自分の土俵に乗ってもらうかわりに、自分も若手の土俵に乗る。例えばスポーツ好きの若手ならば、3on3でもやるとか、フットサルとかをやってもいい。野球を見に行ってもいいし、プロレスでもいい。あるいは映画を見てもいいし、ライブでもいいし、いきなり食事でもいいし、みんなでゲーセン行って、ゲームで勝負してもいい。飲み以外のコミュニケーションの手段なんていくらでもある。

部下は上司に合わせろ! 但し上司は部下に合わせない。

こういう発想に問題がある。自分も歩み寄ってのコミュニケーションだと思うんだけどね。一方的なものはコミュニケーションじゃない。双方向であるから意味があるわけでね。若手を理解したいのであれば、若手に歩み寄ったほうがいい。
少なくても、こういう決めつけをしているうちは、若手はついてこない。

上司がこれだけ気を使っているのに誘いを断るようなヤツは、どうせ仕事でも使い物にならない。

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酒席に誘うことを「気を使う」と思っているうちはダメ。「じゃどんな方法がいいだろう」と頭を切り替えてこそ「気を使う」。合わし合わせてこそコミュニケーション。

飲んでいるうちに、部下がどんな失敗をしやすいタイプとか、どんな仕事に向いているかも見えてくる。能率が上がって業績も伸びてくる。

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別に飲みじゃなくてもわかると思うなあ。その人の人間性が出るのは酒とは限らないし。スポーツ好きのやつは、スポーツしているときに人間性が出るし、ゲーム好きもゲームに出ますよ。飲み以外の方法を身につけることこそ、上司に求められるスキルじゃないかねえ。あるいは最も適したコミュニケーションを見つけるスキル。酒か、スポーツか、カラオケか、メシか、ゲームか。それを判断し、合わせてこそ名上司。
かの名プロレスラー、ニック・ボック・ウインクルの名言にこういうものがあります。

「相手がワルツでくれば私もワルツを踊り、ジルバを踊ればジルバを踊る。相手に合わせて踊るのさ」

こういう余裕を見せるのが本当の王者じゃないですか。余裕が欲しいなあ。それが年長者の技でしょ。

「相手が酒を好めば私も酒を飲み、メシを好めばメシを食う。相手に合わせて遊ぶのさ」

AWA往年の名チャンピオンに学びたいたいものであります。