知り合いとかと複数でタクシーに乗るときに心がけていることがあります。
タクシーの運転手さんを笑わせる
これ、オレの地味な目標。マメにトライしておりますが、なかなかどうして難しい。
というのも、運転手さんとの1対1のトークの場合、相手はオレの話を聞く体勢ができているので、笑わすのはそんな難しくない。でも、知り合いとオレとの会話に対して、運転手さんの話を聞く体勢が整っているとは限らない。基本的には会話の蚊帳の外であり第三者なのでね。客同士の会話なんでさ。なので、まず話を聞かせなきゃいかん。聞いてもらわないと笑わせようがない。このハードルが意外に高い。同じ車内にいるのに、すぐそばで話しているというのに、話を聞いてもらうのが意外と難しい。
やっぱり同調とか共感がないと、笑いは生まれにくいんだよね。他人同士の会話の場合、自分に投げかけられるかのような、会話に参加しているかのような、自分の経験に置き換えられるかのような感覚がないと笑えない。他人事感があってはダメだし、疎外感もダメ。
逆に言えば、ここを話し手が解決すると笑わすことができる。運転手さんにとっては客同士の会話であり、他人同士の会話なんだけども、そこに同調できる点、共感できる点があれば、その会話に参加しているかのような感覚が生まれるんだよね。これが笑いの下地。シンクロする体勢があるかどうかってのは、笑いのなかでかなり重要な要素。
そんなわけで、実はお笑いイベントに来たり、お笑い番組を見る人ってのはこういう体勢があるのでラク。よくイベントに来たり、テレビを見る人は目は肥えているかもしれんけど、笑う下地、笑う体勢はある。そもそも笑おうと思ってイベントを見に来るわけだし、チャンネルを合わせるわけだしね。笑わすのは難しくない。笑わして当たり前。
問題は笑おうと思ってない人を、どうやって笑わすか。話を聞いてない人に、どうやって聞かせるか。こっちを見ていない人に、どうやって見させるか。ここに芸のカギがあるんじゃないかなあと思って、知り合いとタクシーに乗っては、運転手さんを笑わせようと日夜努力しております。今のところ撃墜率は高くありませんが、運転手が必死に笑いをこらえているのを見ると、なんとも言えない嬉しさがあります。妙な満足感。
ま、別にオレは芸人じゃないから、こんなことやらんでもいいんだけどさ。「トークキングへの道」修行。タクシーの運転手さんを笑わせる。オレとタクシーに乗る方は是非ご協力ください。