(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

百貨店化するAmazonと、自販機化する既存書店の戦いのはじまり

ついに実現するのか。

オンデマンド製本。
棚という陳列と、在庫の限界を越えるにはこれだわな。売り切れというチャンスロスをなくし、あらゆる機会を売るきっかけにするにはこれしかない。
最終的には一坪本屋でもいいわけで。それこそ自販機とかも将来は可能になるはず。リアル店舗は宣伝用というか、広告として存在すれば良くて、極端なことを言えば店舗も店員もいらない。銀座とかに数店舗ありゃいいというApple Storeみたいな感じになるのかなあ。
今後の展開としては、本の販売には在庫という限界がある以上、どこかでAmazonのようなネット書店は、本を売るなら在庫が実質存在しない電子書籍方面に舵を切るしかないだろうし、販売する商品を書籍に限らないのであれば、食品や雑貨を含めた「ネット百貨店」になっていくはずだし、その結果として、本屋というよりは巨大な在庫を抱える倉庫屋になっていく。
一方、逆に典型的な「本屋」であろうとし、現物としての本を売るような既存の会社は、こういうオンデマンド化に向かうしかない。Amazonが幅広い商品を売るために在庫を抱え、倉庫を抱えるのに対し、オンデマンド化を可能にする装置投入により、在庫を抱えない経営が可能になり、倉庫が必要なくなり、店舗が小型化する。
これまでは既存の本屋という「持てるもの」に対し、Amazonは「持たざるもの」という立場で戦ってきた。店舗がない。売っている商品を手に取れない。そうした弱みをラインナップの豊富さと、クリックひとつで自宅に商品が届くという利便性で埋めてきた。そしてその利便性をさらに高めるべく、販売している商品の数と種類を増やした結果、Amazonはいつしか「持てるもの」となった。
逆に既存の書店は、都心の一等地に店舗を抱え、「持てるもの」として戦ってきたが、ネットの利便性の前にいつしか優位を失い、「持たざるもの」になりつつあった。しかしながら、オンデマンド化が可能になれば、店舗の規模はさほど必要なくなり、リアル店舗の強みが出てくる。
そうこうしているうちにオンデマンド専業書店とか、あるいは電子書籍を中心にしたデータ書店ができるだろうなあ。電子書籍ダウンロード販売と、オンデマンド印刷販売の書店。売りは在庫ゼロ。在庫ゼロでもラインナップはいくらでも増やせる。売り切れのない書店。試し読み用のiPadとか、筐体を何台か置けば成立しそう。本屋の規模はさほど大きくなくてもいい。
百貨店化するAmazonと、自販機化する書店。そしてそれに立ち向かう挑戦者。三つ巴の戦いがはじまろうとしている。