(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

あれだけ騒いで5400人

厚生労働省が「住居喪失不安定就労者の実態に関する調査」の結果を発表。あれだけ騒いでいたネットカフェ難民が全国で5400人しかいねえという香ばしい結果に。

いやはや、なかなか味わい深い。あの鬼の首をとったような騒ぎは何だったんだってな話で。たかだか5400人の話を社会問題にしたら、何でも社会問題になっちゃうよな。これより遥かに該当者の多い問題はいくらでもあるわけで。偽装請負なんて某キャノン1社で軽く5400人超えますからね。問題の軽重を間違えちゃいけませんよ。
以下、ちょっと細かく見て行きますか。

1店舗あたりのオールナイト利用者は約20人

この調査はこんな感じでやったそうな。

○全国の24時間営業のインターネットカフェ・漫画喫茶等全店舗(3,246店舗)に対する電話調査により、当該店舗における平日(月曜日〜木曜日)1日あたりの平均的な「オールナイト利用者数」を把握。

おお、全店舗に電話をかけたのか。ま、登録しとらん野良カフェとかもありそうだが、そこは見逃しておこう。でもって、この回答を元に次の計算で全国のオールナイト利用者を割り出したってわけね。
で、その回答の平均値が18.9人。ま、ザックリ20人ってわけですな。

ネットカフェ難民は7.8%

で、問題はそのうちどれくらいネットカフェ難民がいるかって話でございますが、その結果がこれ。

○オールナイトの利用理由は、「パソコン等を利用するため」(52.8%)、「仕事や遊び等で遅くなり帰宅がおっくう」(27.8%)が多く、「住居がなく寝泊まりするために利用」(=住居喪失者)は7.8%。

7.8%。ということは、1店舗あたり2人。
……ううむ、平凡な数字。「ワケありの人が1割いる」と考えれば、ごくごく自然な結果な気がしますがね。ワケありの人って、常にそのくらいはいません?

実は50代に問題あり

ネットカフェ難民って20代・30代の問題として扱ってたような気がしましたが、実は50代が多いという結果。

○「オールナイト利用者」と「住居喪失者」の年齢別分布をみると(図1 ) 、オールナイト利用者は20歳代( 51.2%)に山があるが、「住居喪失者」は20歳代( 26.5%) と50歳代( 23.1%)に2つの山がみられる。

実はオールナイト利用者のうちの難民比率は20代と50代は変わらんそうな。で、グラフを見ても20代の山が40代に向けてキレイに下がっている。ということは、20代はほっといても年を重ねるうちになんとかなるっちゅうことじゃないですかね。それより50代で難民化した方が救いがたい気がしますよ。

路上併用4割

実は最も興味深かったのがこの部分。

○寝泊まりの場所としてネットカフェ等以外も利用する者は、東京では96.0%、大阪では85.4%である。

……なんか報道と違うなあ。「やむにやまれずネットカフェ」というイメージの報道をしてたような気がするけども、実際は「色々な中からネットカフェ」が正解らしい。

○「路上」を利用する者の割合は、4割程度(東京41.1%、大阪41.5%)である。

ということは、ネットカフェが安くなったので、路上で寝泊りしてた人がネットカフェにまわったんじゃねえの? あるいは「今日は収入があったからネットカフェ」「残りが少ないから路上」みたいな話では。こうなると単なる選択の話だよなあ。

○その他の施設の利用の状況をみると、東京では「ファーストフード店」( 46.1%)や「サウナ」(32.1%)が多く利用されている。

ということは、懐具合でこんな序列があるんじゃなかろうか。

  • サウナ → ネットカフェ → ファーストフード → 路上

……こうなってくるとあんまり暗い話じゃねえなあ。有意義に生活してんじゃん。単なる合理的選択による難民化。難民になるも自由、ならぬも自由。以上の言葉を持ちましてご挨拶に代えさせていただきます。