(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

中国が日本で食品をつくる日

以前、こういう記事を書きました。

この記事は日本人が日本産を偽装する可能性があるのではないか。例えば黒毛和牛を他の和牛で代替とか、魚沼産コシヒカリが、実は他の産地のお米とか。そういう偽装を念頭においてたわけですが、どうやら様相が少し変わってきて、話がもうちょっと進んできている。
食品の安全に関し、中国での中国産食品に対する信頼のなさと、日本産食品に対する信用のされ方というファクターは変わらないんだけど、この両者のギャップがあまりにも広がっているので、将来的にはこういう動きがあるかも知れないし、実は水面下で動いているかも。

中国の食品工場が日本に移転する

結局のところ、中国産とは何かというと、中国で最終加工して製品化されるから中国産なわけですね。野菜なんかの食品そのものは産地が問われるわけですが、加工食品の場合は最終加工地が産地となる。中国産のほうれん草を日本に輸入し、それを使って日本で流動食をつくれば、日本産の加工食品一丁あがりとなるわけですよ。原材料が中国産というだけでね。
ということは、手っ取り早く信用を得る方法としての終着駅は、信用のある場所で加工し、その場所でつくられたことにしてしまう。中国でつくるから信用されない。であれば、日本でつくれば信用されるし、売れるんじゃね? こういう結論になってもおかしくない。
考えられる手段としては、中国系資本による食品加工会社の買収とか。資本は香港・シンガポール経由かな。で、ターゲットは北海道。理由は簡単で、北海道ってブランドなんです。魚は特にそうだけど、「北海道産」ってあちらでも通用するブランドなんです。あちらの乾物屋さんにいくと、ホタテの貝柱なんかにも「北海道」って書いてある。寿司屋は無論。生で食べても安心、安全なブランドとして通用する最高の場所。
もともとフカヒレや干しアワビなんかの高級中華食材は、実は中国も台湾も香港も日本から輸入してるので、中華料理向け食材のノウハウは、意外と日本にある。そう考えると加工工場を日本に置くというのは、意外と考えうる投資で、海鮮を中心に据え、それを機会に野菜なんかにも手を伸ばし、中国の食材を日本で加工し、それをまた中国に戻すという食品加工貿易が成立する可能性は非常に高い。

中国で野菜をつくって、日本で加工する

カット野菜や、冷凍・レトルト食品の場合、日本でつくることで信用創造できる。もちろん日本でつくった加工食品は高くつくので、中国で誰もかれもが買える値段にはならないけども、しかしそれでも日本の会社が提供する商品よりは安くなる可能性があるし、中国人向けの味覚という何よりなノウハウがある。
また決定的なのは、それでも買う層がいるってこと。北京や上海、広州地域には、そこそこの富裕層はいるし、台湾・香港にもいる。そういう地域で、加工食品の需要は結構ある。また、これまでに加工食品を使う文化がなく、これからますます需要が伸びるので、展開的に成長産業になる可能性がある。中国は加工食品を信用しないからね。市場に行っても、丸の野菜、肉、魚が並んでて、魚の切り身を買うのでも、目の前で切り身にしないと信用しない。ひき肉だなんてもっての他。「何が入ってるかわかんねえ」っていうのが普通。
しかしそこに日本産という信用を武器に加工食品が入ると、手間を嫌う富裕層に需要が生まれる。彼らは頑固だから、加工されたものを信じないと決めれば徹底的に信じないけど、同時に合理主義なので、便利だと思えば、それを使うはず。そういう展開が考えられるのではないか。
ま、でもさすがにここまでは行かないとは思うけどね。

原材料を日本でつくる?

土地とか、人件費の問題があるから、ここまでは。特に野菜はね。野菜だけは中国から仕入れる構図は変わらない。それに価値をつけるのが日本という場所になる。安心・安全と加工済みという価値。
こういう考え方も日本の食品産業に考えられるのではないでしょうかね。